第4章 この苛立ちは君のせい
予想外な花子の発言にその場にいる全員が開いた口が塞がらなかった。"不死鳥"のマルコと言えば10億を越える大物海賊。更に白ひげ海賊団1番隊隊長ともくれば、その名を知らないのはよっぽどの馬鹿か世間知らずだ。
「…ペンギン。」
「アイアイ!さっ!花子、こっちにおいでぇ~。」
「え?」
ローに呼ばれたペンギンは花子を抱え少し離れた所に座らせる。説明が面倒になったローは全部をペンギンに丸投げした。痛む頭を押さえるローにマルコは同情の目を向ける。
「いいかぁ、花子~?"不死鳥"のマルコってのはなぁ。」
「…何か子供扱いしてない?」
幼子に話す様な口調のペンギンにイラッと顔を顰めるが、そんな花子の事は気にする事無くペンギンは丁寧に…それは丁寧にマルコの事を説明した。
「じゃあ、マルコは凄い人って事ね。」
「…お前、俺の話聞いてた?」
「ははっ!…まぁ、難しい話は言いっこなしだよぃ。」
説明が終わり分かったと頷く花子。間違ってはいないがあれだけ説明して貰って理解したのそれだけかと項垂れるペンギン。タイミングを見計らって花子に近付き目線を合わせる様にしゃがみ込んだマルコは、優しく彼女の頭を撫でた。
「別に隠してるつもりは無かったんだが、言うタイミングが無くてな。」
黙ってて悪かったよと笑うマルコの顔は何処か寂しげだった。
「何だ、じゃあ心配する必要無かったじゃない!」
「え?」
「だって私、マルコが一般人だと思ったから悪魔の根城には行かせられないと思ったのよ!」
「悪魔?」
「根城?」
「…。」
それなら早く言ってよと頬を膨らませ睨む花子を見つめるマルコは鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をしている。
「花子…もしかして、引き返せと言ったのは俺を危険な目に合わせない為かよぃ?」
「当たり前じゃない!流石に一般人と海賊を鉢合わせにさせる訳にはいかないでしょ?」
それ以外に他にあるのかと、きょとんと首を傾げる花子に呆れながらも、彼女の優しさにマルコは自然と顔が綻んだ。
(おい、花子。悪魔の根城とは何だ。)
(?!ロー君?!)
(後で詳しく聞かせて貰おうか。)
(((…。)))馬鹿だなぁ…