第4章 この苛立ちは君のせい
ロー side
崩れ落ちる花子を支えたのは昨晩クリオネが見たと言う、四皇白ひげ海賊団1番隊隊長"不死鳥"のマルコだった。奴に支えられている花子はよっぽど懐いてんのか、ぎゅっと首に腕を回し甘えた仕草を見せる。
(…面白くねぇ。)
花子を問いただすのは後だ。まずは不死鳥屋をどうにかしねぇと。
「何の用だ、不死鳥屋。」
「だから言ったよぃ。自分の「そうじゃねぇ!何故、此処に来た。」
花子を返しにしたんならこいつの目的は済んだ筈。わざわざ、敵である俺達の船に乗り込む必要はない筈だ。
「そりゃ、花子を拐ったのは俺だ。こいつだけ怒られるのは可哀想だろぃ。」
「マルコ…!」
「…チッ。」
(((花子…!お願いだからこれ以上キャプテンを刺激しないでっ!)))
羨望の眼差しで不死鳥屋を見つめる花子にまた苛立ちが増す。何故、お前はそこにいる?何故、そんな顔を他人に見せる?
「それに…可愛い仔猫は愛でるもんだ。苛めてばっかりじゃあ…逃げちまうよぃ。」
「っ!"シャンブルズ"」
「みぎゃっ?!」
俺は手に持っていた小石と花子を入れ替え奪い取った。余裕を見せる不死鳥屋に苛立つ。だが、1番腹が立つのは。
(何て顔してんだ!)
花子を見つめる不死鳥屋は本当にあの四皇のクルーかって程、優しい雰囲気をしてやがった。そして、奴に抱き締められ頬を撫でられた花子の顔は。
(…女の顔しやがって。)
くそっ!薄々感付いていたが先に手を付けられるとは。行き場の無い苛立ちを何処に向けて良いか分からず、また舌打ちを溢すと不意に胸の辺りの服を引っ張られた。
「ねぇ、ロー君。マルコは悪くないの…付いて行った私が悪いの。」
「…。」
「それなら、誘ったのは俺だよぃ。」
どっちが悪いだ、悪くないだ言い合ってやがるが、そんな事より俺は別の事が気になった。
(こいつ…こんなに可愛いかったか?)
眉を下げ俺を見上げる花子は儚げで弱々しく、縋る様な仕草が俺の加虐心を煽る。
「でもマルコは一般人でしょ?流石に手を出すのは不味いんじゃ…。」
「…おい、待て。何言ってんだ、お前。」
聞き捨てならねぇ言葉が聞こえ不死鳥屋に目をやれば、何故か奴も驚いた顔をしてやがる。