第27章 真実
花子 side
ルフィ君達が雷ぞうさんに駄々絡みして煩かったから私達はナミちゃんに部屋の外に追い出された。確かにあんなに騒いでたらロビンちゃんの邪魔になるよね。
「綺麗だねぇ~…。」
「本当に…少し前にあんな悲惨な出来事があったなんて嘘の様です。」
手頃な木の根に腰掛け私は緑豊かな土地を見下ろす。少し前までこの地が戦場だったなんて信じられないくらい穏やかな空気が流れている。亡くなった人達を弔う様にブルックさんがギターを演奏している。
(どうか…安らかな眠りを…。)
暫くブルックさんの音色に耳を傾けていると、イヌアラシ公爵が私に近付いてきた。
「ゆガラ、花子と言ったか?」
「?はい。」
「…見れば見る程、よく似ている。」
イヌアラシ公爵は私を見つめ懐かしむ様に、でも何処か悲しそうに微笑んだ。どうしたんだろう?
「ゆガラ、光月史朗と言う人物に心当たりはあるか?」
「光月…?」
「遥か遠く…ニッポンと言う所から来た男らしい。」
「えっ?!」
聞き覚えのある地名に思わず声が上擦る。ニッポンって、日本の事?それに光月史朗って…。
ー花子は…本当に私のお父さんそっくりね。ー
「あ…。」
「覚えがあるのだな。」
「私の…お祖父ちゃんの名前…。」
ふと、お母さんが話していた事を思い出す。何で気付かなかったんだろう。光月って私のお母さんの旧姓じゃない。でも…何でお祖父ちゃんの事を知ってるの?
「ゆガラがこの地に来たのも…必然かもしれんな。」
「あの…どうして、知って…?」
何故、お祖父ちゃんの事を知っているのか尋ねようとしたら、丁度ネコマムシの旦那がポーネグリフの解読が終わったと報せにきた。一旦、戻るかと話が中断され私の胸には何かつっかえた様にしこりが残る。
「花子さん…大丈夫ですか?」
「…うん。」
一緒に話を聞いていたブルックさんが心配そうに私の顔を覗き込む。大丈夫だと頷くけど、私の頭の中ではぐるぐると負の感情が駆け巡る。
(…そう言えばお祖父ちゃん、若い頃に神隠しにあったって言ってた…。)
もし…もしイヌアラシさんの言っている人物がお祖父ちゃんだとすると…。
(私も…いつか元の世界に戻ってしまうの…?)