第27章 真実
カーディアン居住区であるくじらの森。その名の通り高く聳え立つ大木の幹は鯨の形をしている。ジャックに見付からず隠し通せた雷ぞうはその木の幹にいると言う事で麦わらの一味、ロー、錦えもん達は彼に会う為向かった。
「うぅ~…。」
「モモの助様、大丈夫ですぞ!」
「大丈夫?モモ君。抱っこしようか?」
「だっ、大丈夫でござるっ!」
雷ぞうの元に向かうにはくじらの木の幹まで登らなくてはいけない。足元も悪く強風が吹く道は子供のモモの助にとっては恐怖であろう。その余りの高さにモモの助は自分を背負う錦えもんの背中に顔を埋め震えていた。
「おめぇは怖く無いのかよ。」
「何か、登象に比べたら恐怖が薄れちゃって。」
それにゾロ君がいるし!と、花子は自分を背負うゾロの首に抱き着き微笑みかける。そうかと素っ気なく返すゾロだったがその口元は嬉しそうに上がっている。
「何だよ、モモ、怖ぇのかぁ?なっさけねぇなぁ~!」
「何おうっ!?」
「ルフィ君、仕方無いよ。モモ君は子供なんだもん。」
「そうよ、ルフィ。モモちゃんは繊細なんだから、お祖父さんに崖から突き落とされたあんたとは違うの!」
幼い頃にガープから修行だと崖から突き落とされた事を思い出しルフィは身震いしている。どんなデンジャラスじいちゃんなのかと花子は冷や汗を流すルフィを見つめ苦笑いをした。
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雷ぞうがいる部屋は尾の付け根に入口があり、その先は隠し扉で厳重に管理されていた。中に入れば下へと続く長い階段が姿を現し、ネコマムシに案内されるまま1歩1歩進んでいく。すると突然、嗚咽の様な雄叫びが奥から聞こえてきた。
「おい!まさかっ…!」
「うむ、雷ぞうじゃきに。」
「「「忍者ー!?」」」
この先に雷ぞうがいる。憧れの忍者との対面にルフィ、ウソップ、チョッパーは歓喜の声を上げ飛び出した。彼等の後を追うフランキーの顔も心なしか輝いている。
「そんなに感動するもんなの?」
「当たりめぇだ、忍者だぞ。手裏剣持ってんだぞ。」
「…ゾロ君も行かなくていいの?」
「俺はぁ…お前背負ってるし、後でいい。」
ルフィ達の様にはしゃぐのは気恥ずかしいのだろうが、本当は行きたくてウズウズしている様子。しかし、彼等はその期待が打ち砕かれる事になるなど思ってもみなかった。