第27章 真実
一難去ってまた一難。再会を喜ぶのも束の間、この国の2人の王の仲は壊滅的である。すぐに喧嘩を始める2人に呆れながらもウソップが止めようとするよりも早く、小さな影が飛び出してきた。
「喧嘩などよせ!あんなに仲の良かった2人が何故さっきから殺し合いの様な喧嘩をするのでござる!もう2度と喧嘩は許さぬ!父上の事が原因ならなおさらでござる!こんな2人を見たら父上は悲しむぞ!」
2人の間に飛び出したのはモモの助だった。彼の言動に一味は首を傾げる。モモの助の父親である錦えもんはすぐ側にいて、2人の喧嘩を間近で見ているのだから。目を潤ませ檄を飛ばすモモの助に2人の王は焦った様に土下座をし自分の行いを詫びた。
「ど、どういう事だ…!?」
「モモの助様の言う通りでござる!お主達も欺いていた事を許してくれ!実は拙者とモモの助様は親子ではござらん!」
「えぇっ?!」
モモの助様?親子では無い?次から次へと明かされる真実に皆の頭は混乱状態だ。
「ここにおわすは"ワノ国"九里が大名・光月おでん様の跡取り光月モモの助様にござる!」
「ん…?つまり、なんか偉ぇのかモモは。」
「彼等が家臣の筆頭ならば相当有力なお殿様かもね。」
イヌアラシやネコマムシも含め、光月モモの助は彼等の主君に当たると言う。その身分が明らかになれば命が危ない為、錦えもんと親子と言う予防線を張る事で危険から遠ざけていたようだ。モモの助が偉い身分なのだと知りナミ達は呆然とするが、ルフィだけは顔色1つ変えていない。
「どぉでもいい!」
「どうでもいいとは何だ!頭が高いでござるぞ!ルフィ!」
「知るか!何でお前が偉かったら俺達が変わらなきゃいけねぇんだ。ばぁ~かっ!」
「ぬぬぬ…!」
まるで子供の喧嘩だ。お構い無しにモモの助の顔を掴むルフィをナミが宥める。2人の王の喧嘩の仲裁に入ったモモの助によって、イヌアラシとネコマムシは取り敢えずは一時休戦と言う事で落ち着いた様子。
「それでは2人共!仲直りの握手をするのだ!」
「「…。」」
「凄ぇ嫌そうだな…。」
「いいんじゃない?これを機に仲直りすれば。」
主君たっての申し出を無下にする事も出来ず、顔を歪めながら固く和解の握手をする2人にウソップとナミは苦笑いを浮かべる。