第27章 真実
カイドウの部下ジャックが探していた"雷ぞう"がいなかったからこの国は滅びた。もし彼がいたら、それかジャックがそれを知っていたら…この国はここまで痛め付けられる事は無かっただろう。国を壊されたミンク族達はさぞ"ワノ国"の侍を恨んでいる事だと思っていると。
「お待ちしていた…!」
ドスンッと大きな揺れと共に2人の王は錦えもん達に腰を下ろし頭を垂れる。それに続き彼等の部下までも同じ行動をするのだから一味は困惑した。
「雷ぞう殿はご無事です…!」
「えっ…!」
イヌアラシの言葉に耳を疑った。しかし、彼ははっきりと言ったのだ。待っていたと、雷ぞうは無事だと。そう涙を流しながら錦えもん達の帰還を喜んでいる。
「おい、待て…!雷ぞうはいたってのか!?それ、全員が知ってたのか!?」
動揺するウソップに他のミンクの者達は肯定も否定もせず穏やかに笑った。彼等は分かっていたのだ。全て分かった上で隠し通してきたのだ。例え…国が滅ぼうとも…。
「お前等、皆死ぬとこだったんだぞ!そいつを庇った所為で…千年続いた都市が滅んだんだぞ!1歩間違えば危ない状況で…ナミ達が来なきゃお前等…っ!」
「ゆガラ達にも秘密ですまんかった。"ワノ国"の光月一族と我等は遥か昔より兄弟分だ。」
「だからって…。」
「何が滅ぼうとも、敵に仲間は売らんぜよ!」
頭を抱え感情を露にするウソップにネコマムシはにっこりと微笑みかける。その表情からは彼等の強い意志と心配してくれたウソップへの感謝の気持ちが見受けられる。
「改めてこれを!」
着流しを脱いだ錦えもんの背中には光月家の家紋が刻まれていた。それが光月一族に縁があると言う証拠なのだろう。家紋を目にしたミンク族達は喜び歓声を上げた。
「何だ…あいつ等知り合いだったのか。」
「俺はミンク族との衝突を覚悟したぜ…。そんなら最初から言えっつーの!」
「仕方無いわよ…。そんな大事な事私達にも言える筈もないし…。」
「そりゃそうだろうけどよぉ…あんなに心配したってのに…。」
昔の話に花を咲かせる彼等に緊張の糸が解けたのか一味は一気に脱力する。愚痴を溢すフランキーやウソップだったが、取り敢えずは丸く収まった事にホッと安堵の息を漏らした。