第27章 真実
朝を迎え侵入者を報せる警報の鐘の音で皆飛び起きた。また、カイドウの襲撃かと緊張が走る中、ナミが近くにいたミンクに尋ねると侍が来たと騒ぎ立てる。
「ん~…なにごとぉ~…?」
「…あんたよくこの中で寝れるわね。」
「大変です、ナミさん!モモの助さんが何処にもいません!」
「えぇっ?!まさか2人を探しにっ!?」
侍とは十中八九錦えもんとカン十郎の事であろう。この"ゾウ"では【侍】【ワノ国】は禁句。何故ならこの国を壊滅まで追い込んだ原因が"ワノ国"の"雷ぞう"なのだから。イヌアラシとネコマムシも全軍率いて"クラウ都"に向かっているらしい。2人に見付かっては只では済まないだろう。
「兎に角、皆より先に3人を見付けるわよ!」
「そうですね!あのお2人に先に見付けられると思うと肝が冷えます!…私、冷える肝無いんですけど!」
「ルフィ!ウソップ!チョッパー!起きてっ!」
まだ寝惚けているルフィ、ウソップ、チョッパーを叩き起こし全速力で町へと走り出す麦わらの一味の背中を花子は首を傾げ見つめていた。
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一味が町に着いた時にはイヌアラシとネコマムシが遭遇し喧嘩を始めていた。間一髪の所で錦えもん、カン十郎、モモの助を見付け3人を物陰に隠す。ピリピリと2人から発せられる殺気に額から汗が流れる。
「あんた達、悪い事は言わないからすぐサニー号に戻りなさい。詳しい事情は後で話すわ。」
「兎に角、今は逃げよう!このままここいたら、見付かるのは時間の問題だ!」
まさに一触即発の状態。睨み合う2人の王を見つめ錦えもんは悔しそうに歯を食い縛った。そして、あろう事かナミやウソップの制止を振り切り2人の前に飛び出したのだ。
「喧嘩を止めぇいっ!」
「あの馬鹿っ!」
「どうして…!あっモモちゃん!?カン十郎っ!」
彼に続いてモモの助、カン十郎までもが彼等の前に飛び出して行った。錦えもんの隣に並び2人の王を見据える。突然現れた3人をイヌアラシとネコマムシは喧嘩を止め呆然と見つめていた。
「"ゾウ"の国の者達よ!拙者"ワノ国"光月家が家臣・錦えもんと申す者!同国武人"雷ぞう"という同志を捜しにきた!この国に来てはおらぬか!?」
殺される、逃げろと、ウソップとチョッパーは絶望した面持ちで彼等に向かって叫んだ。