第4章 この苛立ちは君のせい
花子 side
いきなり視界が反転して思わず目を瞑ると固い床に落っことされた。目を開ければそこはポーラータング号の甲板。そして、目の前にはスラリと伸びた長いお御足。
「よぉ花子。昼帰りたぁ良い身分じゃねぇか。」
上を見上げればそこには悪魔ではなく魔王様がいらっしゃった…。
「ハロー…ロー君。下から見るご尊顔も麗し「ふざけてんのか?」
「ひぃっ?!」
大太刀を肩に担ぎ私の目線までしゃがみニヤリと笑みを浮かべるロー君の恐ろしさと言ったら…!目で人を殺せるんじゃないかってくらい怖かった!ヤカラよ!ガラ悪いっ!…まぁ、海賊だからヤカラも一緒か。
「俺に何か言う事は?」
「男の人と夜一緒にいて…「あ"ぁ"っ!?」
(((花子…それは本当でも言っちゃ駄目なやつ…。)))
「ひぃっ?!昼帰りして心配かけてごめんなさいぃ~!」
ロー君、めっちゃ怖いっ!余りの怖さにチビるかと思ったわ!
「ロー君…ごめんなさい。許して…?」
涙が溢れるのを堪えロー君を見詰めれば、ぐっと一瞬何かに堪える様に顔を顰めた後、盛大な舌打ちをかまし立ち上がった。
「話は後で聞く、取り敢えず立て。」
「あぁ~…そのぉ…。」
私も立ちたいのは山々何だけど立てない理由があるんだよ…ロー君や。
「何してんだ。」
「少ししたら行くから私の事はお構い無く。」
流石にヤり過ぎて腰砕けましたなんて言ったら更に怒られそう…。へらっと笑う私にロー君は面倒臭そうな顔をするとガシッと腕を掴んだ。
「いつまでそうしている気だ。面倒をかけるな。」
「ロー君!まっ…っ!」
ぐっと上に引き上げられ嫌でも足が床に付く。腰の痛みと力の入らない足がカクンと膝を折る。
「おい!?」
重力に従い落下する私の身体。あぁ…これはお尻強打か…そう思っているとふわりと優しい温もりが私を包み込む。
「まったく…最近のルーキーは女の扱いも知らないのかぃ?」
「…てめぇは。」
「マルコぉ…。」
「大丈夫かぃ、花子。」
私を受け止め優しく頭を撫でるマルコの手が温かくて、思わず涙が溢れた。
(…何の用だ、不死鳥屋。)
(いんや、自分の玩具取られて癇癪を起こしてる餓鬼の顔でも見てやろうと思ってねぃ。)
(…。)イラッ