第27章 真実
酒も入りペドロを大層気に入った花子は気付けば彼の膝の上に横向きに座り、そのモフモフの胸元に顔を埋めていた。
「はぁ…幸せ…!」
「…何してんのよ。」
「ナミ!助けてくれ…。」
「ふふっ、何だか楽しそうね。」
猫吸い成らぬ、ジャガー吸い。曝け出された胸元を肺一杯に吸い込む花子の奇行に、ペドロはあたふたと慌てナミとロビンに助けを求める。
「いい加減離れなさいよ…ペドロが嫌がってるでしょ。」
「…嫌?」
「嫌…では無いが…。」
「あんたも押されてんじゃないわよっ!?大体、あんたチョッパーが本命だったんじゃないの?」
うぐっと、うるうると上目遣いで自分を見つめる花子にペドロが口籠る。スパンッと彼の頭を叩き呆れた表情のナミの言葉に花子は眉を下げしゅんとした。
「だって…だってチョッパーさん、あのキュートなトナカイちゃんにメロメロなんだもんーっ!」
「…そう言えば。」
「いいもん!私だってペドロさんと浮気してやるぅー!」
「情緒不安定かしら。」
うわぁんっと自分の胸元に顔を埋める花子にどうしていいか分からず戸惑うペドロ。
「花子…ゆガラはとても素敵な雌だ。」
「ペドロさん…。」
「俺なんかよりもずっとゆガラに相応しい雄が現れる。自信を持て。」
しくしくと啜り泣く彼女の背中を優しく撫で宥める様な穏やかな口調のペドロに花子の胸がキュンっと高鳴る。
「…結婚して。」
「結局そうなるんかいっ!?」
「そろそろ離れた方が良さそうよ。ほら…ゾロとトラ男君が凄い目で睨み付けてるから。」
後ルフィもと、ロビンの指す方向に目を向ければ鋭い眼光でこちらを睨み付けているゾロとロー。彼等ほどでは無いがいつもの笑顔からは考えられない無表情でじぃっと見つめているルフィの姿があった。
「ほら、さっさと早く離れなさい!」
「いやぁ~!ペドロさんと結婚するのー!」
「あぁっもう!面倒臭いっ!」
ゴチィンッとナミの拳骨が花子の頭に振り落とされ彼女の腕の力が緩んだ隙に、ロビンが能力で花子を回収。やっと解放されたペドロの顔は心なしかホッとしていた。
(ナミちゃん…酷い…。)
(…大丈夫か?)なでなで
(?!好きっ…!)
(いい加減にしろっ!)あんたも撫でるなっ!