第27章 真実
麦わらの一味であるサンジは今ビッグ・マムの元にいる。これからカイドウを倒そうと言う時に別の四皇と関わりを持ってしまい、暫く身を隠す予定だった"ゾウ"もカイドウに居場所を知られてしまった。これ以上の時間稼ぎは難しくローとしては早くこの国を出発したいのだが、目の前で開かれている大宴会に彼は頭を抱えていた。
「…えいっ!」
「…何をしている。」
「ロー君、顔怖いよ?」
深く皺が刻まれているローの眉間に花子がとんっと指で突付く。ケラケラと笑う彼女の手を払い除けローは大きな溜め息を溢した。
「…呑気なもんだ。いつまた襲われるか分からねぇってのに。」
「ルフィ君だしねぇ~。」
再度、カイドウがこの国を襲撃してきたら只では済まないだろう。ローにとっては大事な仲間の故郷。避けられる戦いならば避けたいのだが、当の本人達はどんちゃん騒ぎしている始末だ。
「ロー君は優しいねぇ~。」
「…無駄な事は避けるべきだ。」
口ではそう言いつつもこの国の平和と安息を願っている事を花子は知っている。素直でないローにくすくすと笑っていると、彼の身体が宙に浮いた。
「キャプテンもあっちで踊ろうよ~!」
「ベポ!離せっ!」
「おっ!トラ男!お前もやるか?ドジョウ掬い!」
「やらねぇよっ!?」
「いってらっしゃ~い。」
宴の中心で鼻に割り箸を差しドジョウ掬いを披露しているルフィが彼を誘う。ベポに抱えられ暴れるローにヒラヒラと手を振りながら花子は本当にやったら面白いと彼を見送った。
「…隣、いいだろうか?」
「ん?」
ルフィに割り箸を渡され本気で嫌がっているローを眺めていると、不意に声を掛けられ振り返ると花子は目を見開いた。
「…イケメン。」
「は…?」
「っ!ごめんね、どうぞ!」
思わず心の声が漏れてしまいキョトンとする人物に花子は慌てて頷くと、その人物は静かに彼女の隣に腰を下ろした。
(ペドロだ。)
(うん!知ってるよ、くじらの森で会ったよね?)
(…気付いていたのか。)
(勿論!)めっちゃ声イケメンだったもん!