第26章 ハートの再会
サンジ side
煙草に火を着け俺はジェルマが停泊している城の窓から外を眺めていた。広場では兵士達が試合をしており昔の悪夢が甦る様でふと視線を逸らす。
(2度と戻って来る気は無かったんだがな…。)
ルフィ達はもう"ゾウ"に着いてる頃か?ナミさん達から話を聞いて驚いているだろうな。ロビンちゃんは怪我してねぇかな?
(彼女も…一緒にいるのかな…。)
ドフラミンゴを倒してルフィは花子ちゃんも一緒に連れて来るだろう。そこにはきっとローも一緒だ…。
「…おい、誰が入っていいと言った。」
「冷たいわね、久々に会った姉に向かって。」
人の気配がしてそう言うとそいつはくすくすと笑いながら近付いてくる。ヴィンスモーク・レイジュ。俺の姉であり、ジェルマ66の戦士の1人だ。
「久々の実家はどう?」
「俺はお前等とは縁を切ったんだ。お前等は家族でもねぇし、ここも実家じゃねぇ!」
「それを決めるのはお父様よ。」
こいつには恩はあるが俺はジェルマとは関わりたくねぇんだ。舌打ちを溢す俺の顔を覗き込みレイジュはふぅんと意味深げな声を漏らす。
「サンジ、貴方…何だか変わったわね。」
「あ?」
「雰囲気が柔らかくなったと言うか…よっぽど今いる場所が居心地がいいのね。」
「…。」
「それとも…恋でもしているのかしら?」
レイジュの言葉にドキリと胸が大きく跳ねた。誤魔化す様に煙草にまた火を着けると小馬鹿にした様な笑い声が聞こえてくる。
「へぇ…あのサンジがね。どんな子?同じ船の子かしら?」
「…俺は全てのレディに恋をしてんだ。」
「あのオレンジの髪の女の子かしら?それとも黒髪の年上の彼女?」
「聞けよっ!?」
本当にこいつは相変わらずだなっ!全く人の話を聞いてねぇレイジュに苛立っていると、レイジュはある人物を口にした。
「もしかして…ドフラミンゴの所にいた子?」
「…違ぇ。」
「ふふっ、相変わらず嘘が下手ね。そんな顔されたら"そうです"って言っている様なものよ。」
チッ、だからこいつは苦手だ!可笑しそうに笑うレイジュに使用人が声を掛け2人は部屋を出ていった。パタリと閉まる扉を背に俺ははぁ…と溜め息を漏らす。
「花子ちゃん…。」
愛しい彼女の笑顔を思い出しポツリと名前を呟く。
ーサンジ君!ー
「…会いてぇなぁ。」