第26章 ハートの再会
「ほら、足に力を入れろ。」
「ん~…やってるんだけど…。」
「「…。」」
ある昼下がり花子は立つ練習をしていた。レオから貰った花薬のお陰で彼女の足の神経は再生したが、2年間歩いていなかった事もあり花子の足の筋肉は衰えてしまっていた。
「余り無理はするな、ゆっくりでいい。」
「ん~…後もうちょっと!」
「「…。」」
リハビリに付き合うローは献身的で、頑張ろうとする花子の姿は実に微笑ましいのだが、2人の姿を見つめペンギンとシャチは生暖かい視線を送る。
「…なぁ、あれリハビリだよな?」
「…一応そうだろ。」
花子を支える様にローが後ろから彼女の身体を抱え込む。一応、松葉杖も用意したがフラフラと不安定な花子の様子に心配になったローにより今の体勢になったのだが、ハタから見たらイチャイチャしている様にしか見えない。
「もう終いだ。」
「わっ!もう、ロー君~!いきなり抱っこしないで~!」
「抱えるぞ。」
「今言っても遅い!」
((甘ぇ~…!))
ふわりと抱き上げられた花子はもうっ!と愚痴を溢すが本気で怒っている訳では無く、ムニムニとローの頬を摘まむ。自分達がやったら一瞬でバラされそうな行動も、穏やかな微笑みを浮かべされるがままのローにペンギンとシャチは胸を押さえる。
「キャプテンが幸せそうだっ…!」
「あんな甘い顔見た事ねぇよっ…!」
完全に2人の世界になっているローと花子を見つめ、ペンギンは涙が浮かぶ目元を指で拭い、シャチは両手で顔を覆い身悶えている。
「良かったなぁ…。」
「あぁ…心なしか隈も薄くなっている気がする。」
花子を失ったローは本当に酷かった。隈は更に濃くなり目も何処か虚ろだった。寂しさを埋める様に酒と女に溺れ、ふと花子を探すその姿は痛々しかった。
「早くくっついてくんねぇかなぁ~。」
「むしろ子供作っちまった方が早いんじゃね?」
自分達の子供を抱き微笑み合う2人を想像し、尊いっ!と変な雄叫びを上げているペンギン達にベポが大きな身体を揺らしながら駆け寄ってくる。
(あっ!いたいた!お~い!)
(どうした?)
(麦わら達がネコマムシの旦那に会いに来てるよ!)
((…。))あれを邪魔すんのは嫌だ…。