第26章 ハートの再会
ロー side
俺は花子を連れ部屋に戻った。あいつ等はまだ馬鹿騒ぎしてるが今は花子と2人っきりになりてぇ。
「ふふふ~!楽しかったぁ~!」
ベットに下ろせば花子はふわふわと笑い、鬼哭を壁に立て掛け隣に腰を下ろした俺の手をぎゅっと握り締める。
「あのね、ロー君。私、本当はロー君に会うのが怖かった…。」
「…。」
「ロー君の幸せを願っているのに…ロー君が私以外の誰かに優しく微笑みかける姿を見るのが…怖かったの…。」
眉を下げ今にも泣き出してしまいそうな顔の花子に胸が締め付けられた。俺は…こんなにもお前を傷付けてしまっていたんだな…。
「…俺の故郷は、真っ白な美しい国だった。」
皆に慕われ尊敬出来る父親。優しく温かな母親。お転婆だが素直で可愛い妹。あの頃は、本当に幸せだった。
「だが…そんな幸せはある日突然奪われた。」
火の海となった町。人々の悲鳴。病気に犯されたラミの助けを求める声。血塗れの両親の姿。大切なもんを失った俺はこの世の全てを恨んだ。
「そんな時だ、コラさんに出会ったのは。」
あの人は俺が失ったもんを取り戻してくれた。生きる事への希望も、与えられる愛情の温かさも…。だから、あの人の思いに報いたいと思った。
「…あの時、お前を失って俺は死ぬ程後悔した。」
「…っ。」
「糞みてぇなプライドなんか捨てて…お前に伝えていれば…。」
今も花子は俺の隣にいてくれた。また失うくらいなら大切なもんなんて作らなけりゃいい。だから、花子に自分の想いを言葉にして伝える事が出来なかった…。大切なもんを失う苦しみも、絶望も知ってる筈なのに…また同じ事を繰り返すのかと…。
「情けねぇよな…お前は…いつも正面から俺にぶつかってきてくれてたのに…。」
あの時の俺は弱く守られてばかりだった。だから後悔した。俺にもっと力があれば…大切なもん守れるくらい強かったらと。だが、今は違う。
「なぁ、花子。こんな情けねぇ俺を…また好きになってくれるか?」
涙で濡れる花子の頬を包み込み、淡く色付いたピンク色の唇にそっとキスをした。
「好きだ…。」
今度は失わせはしねぇ。俺の手で大切なもんを守ってみせる。