第26章 ハートの再会
花子 side
夜も更け辺りは静まり返り虫の声が物悲しげに聞こえてくる。
「ねぇ…いい加減顔上げて?」
「まだ生温い!地面に額を埋めるぐらい擦り付けなっ!」
「そこっ!頭が上がってますよ!」
本当に止めたげてっ!ほら、皆辛そうだよ?!シャチなんて正座のし過ぎでプルプル震えてるしっ!?
「…おい、その辺に「キャプテンは黙っててください。」
「そうですよ!元はと言えばローさんにも原因はあるんですからね!」
「…。」
(…わぁ、ロー君がぐうの音もでない。)
おろおろとする私を見かねてロー君が助け船を出してくれたけど見事撃沈。ぐっと押し黙り気まずそうに帽子の鍔で目元を隠している。
「…顔を上げて?皆の顔がみたいな。」
話をするにも皆の顔を見ないと始まらない。出来るだけ穏やかな口調でお願いすると、戸惑いながら顔を上げてくれた。
「…正直、皆のやっていた事を知った時はショックだった。だから、私に優しくしてくれたんだって。」
始めは怪我をしている私を気遣ってくれていたんだと嬉しかった。でも、賭けの話を聞いた時…皆の優しさが偽りだったのかもと思い悲しくなった。
「でも…その優しさは偽りじゃ無かったんだよね?」
「当たり前だろっ!」
「俺達は本当にお前の事っ!」
「うん、分かってるよ。だって、皆ずっと変わらず私に優しくしてくれたんだから。」
ロー君の事を好きになっても皆態度は変わらなかった。私が落ち込んだら心配してくれて、私が楽しそうにさていたら自分の事の様に喜んでくれていた。
「私も皆の事を信じてあげられなかったから…だから、これでおあいこ!」
「「「花子…。」」」
「ほら、早く立ち上がってよ!ずっとそのままだと何かの宗教だと思われちゃうよ!」
ぱんっと手を叩き皆に笑顔を向けると何だか照れ臭そうにゆっくりと立ち上がった。
「お前…何かいい女になったな。」
「今更気付いたの?」
「やっぱあん時、もっと本気出しときゃ良かったなぁ~!」
「…おい。」
戯けて言うシャチにロー君から突き刺す様な鋭い声が聞こえた。ビクッと身体を震わせるシャチは本当にお馬鹿だと思う。
(本当に花子は甘いんだから…。)
(いいの。)
(もっと徹底的に追い詰めるべきですよ!)
(…ミラちゃん、本当に何があったの?)