第26章 ハートの再会
1度ルフィ達と別れたローは花子を抱えビブルカードの示す方向に足を進めている。
「ねぇ、ロー君。私も行かなきゃ駄目?」
「あいつ等もお前の事、心配してたんだ。顔ぐらい見せてやれ。」
ローに悟され花子は罰の悪そうな顔をする。突然、船を下り消息を絶った彼女の事をハートのクルー達は心配していた。流石に突拍子も無い事をしたと花子自身も少し反省しており、彼等と顔を合わせるのが気まずい様子。
「…ここか。」
ビブルカードを眺めローが歩みを止めた。ガサリと茂みから顔を出したクルー達にローはふと口角を上げる。
「っ!ううぅっ!キャプテ~ン!花子!」
「「「キャプテン!花子!」」」
ベポを筆頭にクルー達がローに駆け寄る。歓喜余りローに飛び付いたベポはその巨体を惜しみ無く彼に擦り付けた。
「来てくれたのかぁー!」
「キャプテ~ン!」
(…めっちゃ苦しいっ!)
ベポとローに挟まれ花子は押し潰されそうになりながらも、感動の再会を邪魔しては駄目だと口をつぐむ。
「会いたかったぁ~!ハートの海賊団、勢揃いだぁ!」
「ベポ、キャプテンを潰す気か。…後、花子が死にそうだから離してやれ。」
「あ。」
「っ…はぁっ!死ぬかと思ったっ!」
スリスリとローに頬擦りするベポにシャチが声を掛ける。やっと解放された花子ははぁっと息を吐き顔を上げるが、視線は右往左往している。
「あぁ~…えっと~…。」
しん…と辺りは静まり返り周りの視線が自分に集中しているのを感じ花子は口籠る。この様な時にその場を明るくさせる術を彼女は知らない。
「やっほ~、皆ぁ…。まだ腐り落ちてない?」
「「「会って一言目がそれかよっ?!」」」
「…お前な。」
「だって、何て言っていいか分からないんだもん!」
呆れた顔をするローにひぃんと泣きべそをかくが、突然ふわりと自分を抱き締める柔らかな温もりに花子は目を見開いた。
「花子っ!会いたかった…!」
「イッカク…?」
自分を抱き締めるイッカクの声は涙混じりで身体も震えていた。懐かしい友との再会にきゅっと唇を噛んだ花子の目にも涙が浮かんでいた。