第25章 でっかい象
誤解も解けたところでワンダは目的の場所に辿り着いたと伝える。薄暗い霧が晴れそこに姿を現せたのは、巨大な門とそこを守るライオンと馬のミンク族の姿。
「ワンダ!そガラは?」
「くじらの森の侵入者か?」
「悪意はなかった。手違いで歓迎の鐘鳴らず、1人がくじらの森に迷い込んだ。門を開き、皆に知らせてくれ!麦わらの一味が来たと!」
麦わらの一味。その言葉に門番は驚きはしたものの敵意は感じられない。頑丈な門が開かれ少なからず緊張が走るも、彼等を待っていたのは予想外な出来事だった。
「ガルチュー!」
「ようこそ!麦わらの一味!」
「…何だ!?」
「何だ!?なんか明るい雰囲気だぞ!」
門の中ではルフィ達の到着を待っていたと言わんばかりの歓迎ムード。その明るい雰囲気にルフィ達からも笑顔が溢れる。
「お前等、人間嫌いの種族じゃねぇのか?」
「種族か。それは他のミンクを知らぬ者達の怯えかもな。私達から見ればゆティアらは毛の少ないサルのミンク。同族の1種だ。嫌うなら個々を判断する。」
ミンク族にとって全身の純毛(ミンク)こそ誇りだが、少ない毛(レッサーミンク)に憧れる者も少ない無いのだと、ワンダはルフィの頬をペロリと舐めながら説明する。
「ルフィ~!」
「ウソップ~!」
「おい、ルフィ!ナミとチョッパーだ!」
「!チョッパーさん!?」
ルフィ達に駆け寄ってくる2人の姿に一味からは安堵の表情が伺える。ぴょんっとウソップに飛び付くチョッパーの姿に花子は身悶えている。
「花子!無事だったんだな!」
「チョッパーさんっ!会いたかったですっ!」
「俺っ!凄ぇ心配したんだぞぉ~!」
「はうっ!結婚してください!」
「…おい。」
自分を見つめ涙を流し飛び付いてきたチョッパーに歓喜の涙を流し求婚する花子にローは顔を顰めるが、自分の腕の中で繰り広げられている可愛らしい光景に余り強くも言えずぐっと口をつぐむ。
「サンジもブルックもモモも無事かー!?」
「っ!」
始めは笑顔を見せたナミの表情が微かに強張る。そんな彼女の変化に気付かずルフィは笑顔で両手を広げ胸に飛び込んできたナミを優しく受け止めた。
「…ごめんなさいっ。」
震えるナミの声にルフィはどうしたのかと顔を覗き込む。涙を浮かべナミはルフィを強く抱き締めた。