第25章 でっかい象
花子 side
りゅうのすけが何とか持ち堪えてくれて皆落下と言う大惨事にはいたらなかった。最後の力を振り絞り進むその健気な姿に自然と涙が浮かんでくる。
「「「あっと少し!あっと少し!」」」
「ぐずっ…りゅうのすけっ、頑張ってっ…!」
「…何で泣いてんだよ。」
口元を手で覆い啜り泣く私をゾロ君は呆れた顔で見つめる。これが泣かずにいられるかぁ!1歩1歩力強く前に進むりゅうのすけ。そして、ついに…。
「着いたぞぉー!」
「「「てっぺんー!!」」」
「良かった…。ゾロ君、ちょっと下ろして。」
「ん?おぉ。」
登り切ったその先には夕陽により微かに見える入口の門。ゾロ君に下ろしてもらい私はりゅうのすけの頬をそっと撫でた。
「りゅうのすけ、ありがとう。」
『りゅ~…!』
息を切らし明らかに疲労した様子だけどその顔は達成感と喜びが伺えた。本当にここまで良く頑張ったよ…。嬉しそうに笑うりゅうのすけを労っているとふと彼の尻尾が透けていく。
「りゅうのすけっ!」
「絵に…戻るのね…。」
「?!おい、りゅうのすけっ!?」
だんだんと絵に戻っていくりゅうのすけにルフィ君達が駆け寄る。まだ、ちゃんとお礼もしてないのにっ!
「りゅうのすけっ!」
「おい!待ってくれよっ!?」
『りゅ~。』
「ありがとうっ…りゅうのすけっ…!」
穏やかな笑顔を浮かべるりゅうのすけに涙が溢れ出てくる。周りを見ればルフィ君達も涙を流しながらりゅうのすけにお礼を言っている。
「「「りゅうのすけー!ありがとうー!」」」
『りゅ~!』
完全に絵に戻ってしまったりゅうのすけの姿はそこにはもう無いけど、彼は確かに私達の心の中に生き続けている様な気がした。
「りゅうのすけー!りゅうのす「茶番だ。」
「只の下手な絵だろ。」
「ちょっとそこ座れてめぇ等!ここまで送って貰っておいて何だ、その言い草はっ!」
「2人共、冷たい!無慈悲っ!冷血漢!薄情者!イケメンだからって調子に乗ってんじゃないわよ!」
「花子…貶すのか褒めるのかどっちかにしろ。」
何て血も涙も無いの!ここまで頑張ってくれたりゅうのすけに何て言い草だ!クールを決め込むロー君とゾロ君に怒っていると、フランキーさんが呆れた顔で私を抱き上げた。