第25章 でっかい象
目の前にはいつも見る"島"では無く、山よりも大きい象の臀部。2つに伸びた巨大な柱は象の後ろ足と思われ背中は霧に隠れその高さは計り知れない。
「"陸"じゃねぇからログポースじゃ辿り着けねぇ。俺も来るのは初めてだ。それに奴は背を向けてる。黒足達はもう大分早く着いた可能性があるな。」
巨象を見上げるバルトロメオにローが上陸するから食料を分けてくれと申し出るが、彼の言い方が癇に障ったのか顔を顰める。
「"麦わら屋"に分けてくれるか。」
「食糧庫の全てを持ってってくれ!」
「…ロメオ君、ちょろ。」
この数日でローは彼の扱い方を覚えた様子。溢れんばかりの輝く笑顔で食料を差し出すバルトロメオを、花子は色んな意味で心配になった。
「おい、見ろ!象の脚元にサニー号があるぞ!」
「本当だ。ナミ達はいるか?」
「ん~、ここからじゃ霧が深くてよく見えねぇな。もう少し近付いてみねぇと。」
象の足には鎖で繋がれたサニー号。船の隣に横付けし中の船内の様子を探るが人の気配は無い。となると、ナミ達は無事に"ゾウ"に辿り着き上陸出来た様だ。
「これが…!麦わらの一味のご神体を運ぶ…"グランドシップ"!」
「ボスッ!余りの神々しさに膝から崩れ落ちそうですっ!」
「馬鹿野郎っ!地べた額擦り付けて拝むべっ!」
「「「ははぁ~っ!」」」
「拝むなっ!?」
「皆、ブレないねぇ…。」
床に膝を付きサニー号を拝むバルトクラブの面々にウソップが怒声を浴びせる。また、会えた時には残りのメンバーの神の雫と称したサインを貰えるかと、涙ながらにバルトロメオが懇願するも麦わらの一味の意識がカン十郎に移っており華麗にスルーされた。
「蛇か?」
「トカゲだろ。」
「角があるし龍じゃない?」
「いやいや…流石にそれはねぇよ。」
甲板に絵を描いているカン十郎を眺め皆好き放題言っている。花子の解答にウソップがお前、馬鹿だなぁと呆れた声を漏らすもカン十郎は目を輝かせていた。
「流石は花子殿!美的センスがある方は違いますなぁ!」
「え?」
「出でよっ!登り龍っ!」
(((龍だったのか…。)))
「わぁい!」
ニョロニョロと飛び出したのは何とも頼り無い龍の姿。正解した花子は嬉しそうに両手を上げるが、他のメンバーはその弱々しい姿に不安を覚えた。