第25章 でっかい象
花子 side
拝啓、父上様、母上様、お姉ちゃん。
後、その旦那とちびっ子2名。
お元気ですか?何か久々な気がするね。
私は色々あったけど、今は海の上にいます。
後、聞きたいんだけど…。
「これ…"象"かぁ~?!」
海を歩くぐらい大きな象って…どうよ?
ーーーーーー
ロメオ君達は船酔いに苦しみながらも崇拝するルフィ君の為に大きな動く山を追っている。そこかしこから聞こえる嗚咽の声に何だか私まで気持ち悪くなってきた。
「花子?大丈夫?ガム食べる?」
「だいじょうぶ…。」
ロビンちゃんが心配そうに私の背中を擦りガムを差し出してくれる。はうっ…!ロビンちゃん、天使…!
「これを見ろ。ビブルカードはあれを指してる。」
「おぉ、本当だ!んじゃお前の仲間があそこにいるだな!」
「おそらくな。深い霧と押し返す海流で侵入を阻む島だと聞いている。」
ロー君の掌にあるビブルカードはズルズルと謎の影に向かって動いている。確信を得たフランキーさんが船員の人達に指示を飛ばすけど、皆フラフラで不安しかない。
「花子、大丈夫か?」
「うん…大丈夫。雰囲気に飲まれただけだから…。」
「チッ!…おい、お前等!金輪際、嗚咽の声を漏らすなよ!」
「無茶言うんでねぇっ!…っおぇ…っ!」
俗に言う貰いゲロ。吐きはしないけど何か胃がムカムカしてきた…。ロー君が私の様子から何かを察したのかロメオ君達に無茶な事言ってるけど…止めたげて…。
「ここが"ゾウ"って島か!?」
「いやいやいや、おかしいべ!だってこりゃあ…。」
「これはまずいだろ!逃げるぞ!旋回!」
「いや、此処でいいんだ。」
謎の影に近付いていきその正体が明らかになる。私は想像を越えた存在に驚愕し言葉を失った。
「トラ男、お前…!これって本物の"象"じゃねぇか!」
「ああ、"ゾウ"は巨大な象の背に栄えた土地の名だ。常に動き続け、一定の場所には存在しない幻の島と言われている。」
皆が目指していた"ゾウ"とは…生きている巨大な象の事だった。
(これ、生きてんのか?!)
(…あの象どんだけ足が長いの?)それともこの海域が浅いの?
(気になるとこそこかよっ!?)
(え?!それ以外なんかある?)