第24章 託された思い
小鳥が可愛らしい声で囀ずる清々しい朝。ジルは外に出ると自宅の玄関前で大きく伸びをした。
『クゥ~』
「ん?何だ?」
家のポストの上に1羽の鳥が降り立ちジルに何かを伝える様に彼を見つめる。不思議に思いながら近付くと鳥の首には小さな巾着袋が下げられていた。
「俺にくれんのか?」
早く取れとでも言う様に首を下げる鳥に苦笑いを浮かべるも、それを受け取り中身を確認したジルは目を見開いた。
「こりゃ…。」
袋の中には小さな紙の切れ端と折り畳まれている手紙。手紙を開きその内容にジルはふと表情を和らげる。
【ジルさんへ
これ、私のビブルカード!これで私が元気な事がすぐに分かるよ!大切にしてね!
ジルさんの声、聞けて嬉しかった!
また、連絡します。
花子】
「ふっ…お前が元気ならそれでいい。」
お使いを終えた鳥は天高く舞い上がり、それを見つめながらジルはポツリと呟いた。
ーーーーーー
新世界にあるとある島"スフィンクス"。ここは白ひげエドワード・ニューゲードの故郷であり、マルコは彼が残した最後の形見だとこの島に留まっていた。
「…なんだよい?」
コンコンと音が聞こえ顔を向けると1羽の鳥が忙しなく窓をつついていた。怪訝な顔をしながらも窓を開けると鳥は身を乗り出し彼に何かを訴えかけている。
「巾着袋?」
早く取れと急かす様にバサバサと羽を動かす鳥に首を傾げるも、首にかかっている袋を取り中を覗き込む。
「ビブルカードか?」
掌で動くビブルカード。それと一緒に入っていた小さく折り畳まれた紙を開くと、マルコはぐっと唇を噛み締めた。
【マルコへ
ジルさんから聞いたよ!マルコ、私に会いに来てくれたんだね。
ごめんね、心配かけちゃって…。
なんやかんやあったけど、私は元気だよ!
今はルフィ君達と一緒にいます。
これは私のビブルカードだから、大切に持っててね!
また、マルコに会えるの楽しみにしてるよ!
花子】
「花子っ…。」
ぎゅっと手紙を握り締めるマルコの目には涙が浮かんでいた。良かった…彼女は無事なのだと本当に安心しているかの様に。
「今度は…俺がお前を見つけるよい。」
澄み切った青空を見つめ、愛しい彼女を思い浮かべながらマルコはそっと微笑んだ。