第24章 託された思い
ローに襲われそうになった花子を救ったのはロビンだった。と言うのも、中々戻って来ない2人を心配して医務室に向かったところ、花子の奇声が聞こえ慌てて入ると花子のあられもない姿。
「うぅっ…ロー君に汚された…っ!」
「よしよし、可哀想にね…。」
「…。」
ローに抱えられ甲板に向かう花子は、顔を手で覆い恥ずかしそうに身体を縮込ませる。しくしくと泣く彼女の頭をロビンが撫で、ローは邪魔された事が不満なのかぶすっと拗ねた顔をしている。
「生娘じゃねぇんだから汚されたも何もねぇだろ。」
「言い方っ?!しかも、人様の船で何しようとしてたの!?」
「…最低よ、トラ男君。」
花子とロビンの冷たい視線に居心地悪くなったのか、ローはふいっと顔を反らし甲板に出ると、目の前の光景に顔を顰める。
「「「オエェ~…!」」」
「…。」
「え?何これ?」
甲板ではバルトクラブの一味が顔を真っ青にして踞っている。まさに阿鼻叫喚。嗚咽のハーモニーが響き渡る甲板に花子は状況が分からずスンとした顔をする。
「ゥオエェ~…花子ぜんばいっ、大丈夫だべか…?っうっぷ…!」
「いや、君が大丈夫?」
「…何なんだ、これは。」
「船酔いだ。」
船酔い?花子とローの頭に?が飛ぶ。何故、海賊の彼等が船酔いなどするのか。ウソップの説明によれば、バルトクラブの者達は元々陸のギャング。立て続けに起こった激しい揺れに完全に酔ってしまった様子。
「よく今まで無事でいられたね…。」
「困っだ時は、田舎のばあちゃんに相談でづだ…ゥオロロ~…!」
「…。」
今も船員の祖母の【ばあちゃんの知恵袋】の元、ガムを噛みながら甲板を転げ回るバルトクラブの一味を見つめ、本当によく新世界を渡れたなと感心をしてしまう程だった。
「ボス!2時の方向何か見えます…うっぷ…っ!」
「ウゲェ~…っ何かって、何だ…?」
「っ~!っ何かでけぇ、動く山みてぇのが…ヴぅ~っ!」
「…私、この船に乗ってるの不安になってきた。」
ほぼゾンビの様な状態の彼等を見つめ花子は何故、自分は"ドレスローザ"に残らなかったのかと今になって後悔する。動く山、面白そうだと言うルフィの声に身体を引き摺りながら、バルトクラブの船員が舵を切った。