第4章 この苛立ちは君のせい
花子がマルコと再戦を決め込んでいる間、ポーラータング号はまさに地獄であった。
「で?花子が不死鳥屋とどっかに消えたと?」
「はい…。」
禍々しいオーラを醸し出すローにイッカク、クリオネは正座をし余りの恐怖に身を縮こませている。
「イッカク、俺はお前に花子と一緒にいろと言ったよな。」
「はい…。」
「まさか男にかまけてあいつから目を離したんじゃねぇだろうな?」
(((キャプテン…それは人の事言えませんよ…。)))
皆思っている事は同じだろうがそれを進言出来る者はこの船には誰もいない。触らぬ神に祟りなし。2人には悪いが何もしないのが1番安全だ。
「クリオネ、何故お前は花子を追わなかった?」
「いや、流石に船を放置する訳にはいかなく…。」
「…チッ。」
「舌打ちっ?!」
「まぁまぁ、キャプテン落ち着いて…。」
苛立たしげに舌打ちをかますローにペンギンが2人に救いの手を差し伸べる。だが状況は変わらず絶賛不機嫌中の彼にベポがホドホドと近寄る。
「キャプテン…ごめんね?俺が花子とちゃんと一緒にいてあげたら…。」
「…っ!」
うるうると目を潤ませるベポにローはぐっと言葉を詰まらせる。何せ彼はこの粒羅な瞳を持つ白熊にめっぽう弱い。
「…次から気を付けろ。」
「アイアイ!」
(((甘ぁ~…。)))
「お前等ももう立て。過ぎた事は仕方ねぇ。」
やっとの事で解放された2人はベポにしがみ付き感謝の言葉を述べる。
「でも、何で"不死鳥"のマルコがこの島に?」
「てか、何で花子と一緒にいるんだ?」
皆の疑問はマルコと花子の関係性。彼女が違う場所からやって来たと言うのはローしか知らない。もしや花子は白ひげ海賊団のクルーなのではと言う疑惑が浮上し、どう説明するかローは頭を抱えていた。
(あの馬鹿っ!何処にいやがるんだ!)
思い出すのは昨日の花子の顔。自分と店の女がキスをしている場面を見つめる彼女の表情は動揺、そして瞳の奥には悲しみがあった。その時、ローは思ったのだ。【かかった】と。しかし、蓋を開ければ花子は別の男と一緒にいると言うではないか。予想外の展開にローは苛立ちを募らせていた。