第24章 託された思い
花子 side
不思議な夢を見た。真っ白な何もない空間。私は1人そこに立っていて不思議と恐怖等は感じなかった。
『君が花子か!』
(誰?)
後ろを振り返ると背の高い男の人が立っていた。煙草を咥えピエロみたいなメイクと黒のモフモフのコートを羽織り、キラキラと輝く金髪と目元が少しドフィに似ている気がした。
(貴方は誰?)
『突然、驚いたよな?俺は…まぁそこは置いておこう。』
いや、そこ1番重要じゃない?!声を出す事は出来なかったけど、私の言いたい事が分かったのか彼は可笑しそうにニッと口角を上げる。
『…すまなかったな。』
(え…?)
ふと彼は眉を下げ私の足首に視線を送る。ドフィに付けられた傷痕。どうして貴方がそんな顔をするの?
『ドフィは…この世の全てを恨んで、全てをぶっ壊そうとしていた。』
(…。)
『利用出来るものは全て利用する。でも…君の事は本当に好きだったんだと思う。…自分の中に閉じ込めてしまいたい程に。』
申し訳なさそうに、でも何処か彼は嬉しそうに顔を綻ばせていた。
『…ローだってそうだった。』
(ロー君?)
『俺と会った時のローも…この世の全てを憎んで、全てを諦めていた。』
悲しそうな表情に胸が切なくなる。でも彼はすぐにパッと顔を明るくさせ優しい眼差しで私を見つめた。
『でも、君と出会ってローは変わった!あんな幸せそうな顔のロー、初めて見たよ!』
(…私は何もしていないよ。)
『ごめんな?あいつ不器用だから、君の事を傷付けてしまったけど…。』
許してやってくれと、苦笑いを浮かべる彼は本当にロー君の事を心配している様で。自然と顔が綻ぶのを感じた。
『…ローに伝えてくれるか?』
(何?)
『愛してるぜっ!お前はもう自由だ!好きに生きろって!』
ピースをし白い歯を見せニィッと満面の笑みを浮かべる。ローの事よろしくなと彼の笑顔を最後に私の意識は遠退いていった…。
ーーーーーー
「て、夢を見たの。」
「…。」
私は夢の話をロー君にしたら、唇を噛み締め今にも泣き出しそうな顔をした。
「ロー君…凄く愛されてたんだね。」
「っ!」
彼を思ってくれる人がいると嬉しくなりそう言うとロー君は私を引き寄せ力強く抱き締めた。
ー…コラさんっ。ー
ポツリと呟いたロー君の声は少し震えていた。