第24章 託された思い
ゴーイングルフィセンパイ号は大海原を全速前進で突き進んでいく。ローに早く"ゾウ"に向かえと言われ悪態を付くバルトロメオだったが、ゾロの一声であっさりと舵を切った。
「ふふっ、今日もありがとう。」
船尾に腰掛けている花子に2羽の鳥達は花や薬草を彼女に差し出すと、甘える様に擦り寄る。
「ねぇ、ちょっとお願いがあるの。」
自分の手に擦り寄る鳥達に花子が柔らかく微笑むと、何だ?と言いたげに首を傾げた。
「これをね…届けて欲しいの。」
花子の掌には2つの小さな巾着袋。それを鳥達の首にかけると、彼等は任せろと言う様に声高らかに鳴くと空に飛び立っていく。
「よろしくねー!」
天高く舞い上がった鳥達に手を振る花子。そんな彼女の後ろからトレーニングをしていたのか首からタオルを下げたゾロがやって来た。
「何してんだ?」
「ゾロ君、今日も精が出るねぇ。」
ちょっとお使いをと膝の上にある薬草や花を袋に積めながらゾロに微笑みかける。
「使って…鳥だぞ。」
「いい子達だよ?ちゃんと届けてくれるよ。」
鳥達が飛び立った方向を見つめ花子はふわりと柔らかく微笑む。その表情にゾロの胸には言い様のないむず痒さが沸き上がった。
(…何だ?)
「あ!これロー君が欲しがってたやつだ。」
「あ?」
「あげたら喜ぶかなぁ~。」
「…。」
誰に言うわけでも無く独り言の様に薬草を見つめ呟く花子の表情にゾロの胸がザワザワと音をたてる。和らぐ目元。ゾロには彼女がローの事を思っている様に見えた。
「…トラ男の事、好きなのか?」
「え?」
「…お前、今凄ぇ可愛い顔してる。」
「?!」
目の前にしゃがみ込み自分を見つめるゾロに花子はボッと顔を赤らめる。その反応が更にゾロの胸をザワ付かせた。
「…何赤くなってんだよ。」
「…だって。」
目線を逸らす花子に顔を顰める。そんなに彼が好きなのか?何故、その顔をするのが自分では無いのかと。
「ゾロ君が…可愛いなんて言うから…。」
「っ!」
顔を俯かせ恥ずかしそうに呟く花子にトスッと胸に何かが刺さる感覚を感じた。堪らず彼女の顔を包み込むとゾロはその唇に食らい付いた。
(んっ、んはっ…ちょっと!)
(…可愛い。)
(?!)