第24章 託された思い
ルフィ side
えぇ~と確か…あったあった!
「花子、これ。」
「これ…!」
俺はポケットから取り出したもんを花子に手渡した。あの時、エースに頼まれたもんだ。
ーこれを…夏島にいる…奈津子って女に渡してくれねぇか…?ー
「あの戦争で…エースが花子に渡してくれって。」
花子は掌にある石を見つめ悲しそうな顔をしていた。それはエースの炎みてぇな赤い石。
「エース言ってた…約束を守れなくて、ごめんなって!」
「…。」
「きっと本当は…直接花子に渡したかったんだと思う。」
ー俺じゃあ…返しに行けねぇからよ…。ー
そう言った時のエースは、凄ぇ悔しそうだった。花子に会いたくて仕方ねぇって顔してた。
「俺、エースに頼まれたんだ。花子の事を頼むって!お前、危なっかしいし馬鹿だから誰かが見てやらねぇとって!」
「っ!」
エースの石を握り締めポロポロと涙を流す花子を見ていると胸が苦しくなる。でも…ごめんな、エース…。
「俺は…そんなの嫌だ!」
「え…?」
「エースに頼まれたからじゃねぇ!俺はっお前だから…花子だから守りてぇって思うんだ!一緒にいてぇって、思うんだ!」
「っ!」
花子には笑っていて欲しい。俺の側にいて欲しいってそう思うんだ。でも…それはきっとエースも同じ。
「馬鹿だよなぁ…!そんなに大事ならっ、ちゃんと側にいねぇとっ!」
「うっ…!」
本当に馬鹿だよ、エース!そんなに大事なら何で側にいてやらねぇんだよっ!何でっ、花子を泣かすんだよっ!
「…でも、エース君はっ、ちゃんと約束を守ってくれたっ…!」
「え…?」
「ちゃんとっ、こうして…私の元に戻って来てくれたよっ…!」
涙を流しながら笑う花子は凄ぇ幸せそうで…その顔が凄ぇ綺麗だと思った。気付けば俺は花子を力いっぱい抱き締めていた。
(なぁ、エース。エースの頼みは聞いてやれねぇけどよ…。)
エースの分まで花子を笑顔にしてみせるから…安心してくれ…!
ー頼んだぜ…ルフィ。ー
((っ…うわぁ~んっ!))
(…どうしたんだ?あいつ等。)
(今はそっとしといてあげましょう。)