第24章 託された思い
花子 side
本当に皆、元気だなぁ…。連日大宴会をしているのに誰1人離脱しようとしない。ルフィ君なんてずっと食べ続けてるから身体がボールみたいに真ん丸になってるよ。
ー花子っ!ー
「ん?」
何処からか声が聞こえて辺りを見渡すけど誰も私を呼んでる感じはしない。でも…この声は…。
ー花子…やっと会えるっ!ー
「…コハク?」
この声はコハクだ、間違いない!ズルズルと柵の方に身体を引き摺っていると、突然ふわりと視界が浮いた。
「…何やってんだ、おめぇ。」
「ゾロ君!お願い!彼処まで連れてって!」
不可解な行動に呆れた顔をするけどゾロ君は私を抱えて柵の所まで連れていってくれた。船から身を乗り出し海を見つめるけどそこには何もいない。
「おい、本当にどうしたんだ?」
危ないから大人しくしていろとゾロ君が私の身体を引き寄せるけど、必死に柵にしがみ付く。間違える筈ない、あの声は…!
ー花子っ!ー
「コハクッ!」
「おいっ?!馬鹿っ!」
ゾロ君の腕から逃れる様に私は海に転がり落ちた。焦った様なゾロ君の声と共に私はザブンッと水飛沫を上げる。
(あ…私、泳げないんだった?!)
使い物にならない足を必死に動かすけど思う様にいかず私の身体は海に吸い込まれていく。
ー花子っ…会いたかったっ!ー
(コハクッ…!)
海の中を悠然と真っ白な巨体を揺らし泳ぐコハクは頭で私の身体を支えると、ゆっくりと浮上していく。
「ぷはぁっ!?」
「花子!大丈夫かっ?!」
「何だ、あの白い鯱は?!」
「花子先輩が食われちまうべぇ~!?」
バタバタと皆の足音が聞こえるけどそんな事、どうでもいい。
「コハク…?」
『花子…俺の大事な花子…!』
何でコハクの声が聞こえるかは分からないけど、優しい声に私の目からは涙が溢れ出してくる。
「っ…会いたかったよぉっ~!」
『1人にしてすまないっ…!』
会いたかった、寂しかった…!コハクに嫌われてしまったと思った。手を広げコハクの頭を抱き締めると私に答える様にひと鳴きした。
(…ところで、何でコハクの声が聞こえりの?)
《俺も頑張ったんだ。花子を守れる様に。》
(コハク、大好きっ!愛してるっ!)