第23章 鳥籠を飛び出して
遠く離れた海域。海は激しく荒れその中を進む軍艦が4隻。ドフラミンゴを収容している牢屋をおつるはじっと座り監視していた。
「フフフッ!藤虎だ、あいつは馬鹿だぜ。おつるさん…。」
「…。」
「最後のチャンスだったんだ。もし俺に加勢して餓鬼共を始末してりゃあ、こうならなかった…。」
両手両足を海楼石の枷を嵌められ鎖に繋がれているドフラミンゴは、愉快そうに恨み節を口にしていた。
「俺が手綱を引いていたんだ!世界の怪物達の手綱をな!俺を潰すべきじゃなかった…。あんた等必ず後悔するぞ。」
「情けない話をするんじゃないよ。もしもあの時…なんて酔狂な世界は存在しない。この結果だけが【現実】さ。…お前は敗けたんだ。」
「フフフッフッフッ…まったく、あんたにゃ敵わねぇ…。」
楽しげに笑い声を上げるがその声には怒りが滲み出ていた。おつるは1つ溜め息を漏らすと懐から1枚の手紙を取り出す。
「…あんた宛だよ。ヴィオラ王女からだ。」
「…ヴァイオレット?」
その名前にドフラミンゴは怪訝そうな顔をする。確かに彼女とは深い関係ではあったが手紙を遣り取りする間柄ではない。差し出された手紙を受け取り【ドフィへ】と綴られた文字に、ドフラミンゴは驚き目を見開いた。
「フフフッ!」
突然笑い出したドフラミンゴに今度はおつるが怪訝そうな顔をするが、そんな彼女をよそにドフラミンゴはそっと手紙の封を切った。
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【ドフィへ
この手紙を読んでいるって事はドフィ負けちゃったんだね…。
あのね、ドフィ。私、初めは貴方の事凄く怖かった。ミアさんやニムル君も殺されて、今度は自分の番なのかなって…。
でも、ドフィは私の事を凄く大切にしてくれた。例えドフィの野望の為だとしても貴方と過ごせた日々は私にとって幸せだったよ。
貴方の事を愛したかった…。
憎しみに囚われている貴方を救いたかった…。
貴方の側を離れてしまう私を憎んでくれても構わない。でも、もしまた出会える日があるなら…。
私の名前を呼んでくれますか?
ドフィ、大好きだよ。
花子】