第23章 鳥籠を飛び出して
花子 side
5kmも先の船まで私を抱えて運ぶロー君が心配だったけど、そんな必要なかったみたい。やっぱりこの世界の人達の人体構造規格外だわ…。
「ロー君、ありがとう。そこら辺に座らせて。」
「あぁ。」
私を抱えたまま腰を下ろすロー君。彼の足の間に座らされて後ろから抱き締められてるから、少し恥ずかしい。
「…窮屈っ!」
「「「えぇーっ?!凄ぇ嫌そうー!?」」」
ブスッとした顔をしたルフィ君に対し、他の海賊団の船長さんはショックを受けている様な驚いている様な顔をしている。どうやら彼等はルフィ君と親子盃を交わしたいけど、ルフィ君が断固拒否をしているらしい。
「まぁ、ルフィ君らしいね~。」
「よく分からねぇ。これだけの戦力を従えてたら今後の戦いにも有利に事を進められるのによ。」
「ん~…きっとルフィ君は誰かを従える気なんて無いんじゃない?ルフィ君が求めている海賊王ってきっと別の事なんだよ。」
頑なに盃のお酒を飲もうとしないルフィ君に子分の皆が捕まえて無理矢理お酒を飲まそうとしていた。
「だから俺は海賊王になるんだよ!偉くなりてぇわけじゃねぇんだ!」
ポカンとする皆にルフィ君はぴょんっと2階の柵に飛び乗ると、下を見渡し両手を広げ宣言した。
「もし俺達が危ねぇと思ったらその時はお前等を呼ぶ!そん時は助けてくれ!親分や大海賊なんて関係じゃなくてもいいだろ!?勿論、お前等が困った時は俺達を呼んでくれ!必ず助けに行くから!」
「ほらね。」
「…随分と麦わら屋の事を分かってんだな。」
ムッと顔を顰めるロー君に私は思わず笑ってしまった。分かっていると言うよりは…。
ーもし何かあったら俺を呼べ!必ず助けに行くからよ!ー
(実体験なんだよなぁ…。)
結局勝手に子分盃を飲まれ晴れてルフィ君は勝手に5600人の大船長となった。ぶーぶールフィ君は文句言ってるけどその顔はなんだか楽しそう。
「いいなぁ…。」
自由な彼等の姿が私には凄く輝いて見えた。ポツリと呟いた私をロー君がぎゅっと抱き締める。
「俺も勝手にさせてもらうか。」
「…じゃあ、私も勝手にしようかな。」
そう言うとロー君はムッとして私の頬を抓ってきた。
(ところでロー君。)
(ん?)
(何でベビーちゃん、ここにいるの?)
(…あいつも勝手に付いてきたんだろ。)