第23章 鳥籠を飛び出して
藤虎と交戦をしているルフィ。しかし、彼の不可解な戦い方にゾロやフランキーは首を傾げる。蹴る、殴る、蹴って殴る、突くと、一連の流れを全て口に出して戦っているのだ。
「あのおっさんに同情してんのか?そんな相手じゃないだろ。」
藤虎は盲目だ。だがルフィの気配は見聞色で何処にいるか一目瞭然。本気で倒そうと思っているのなら、むしろチャンスな筈なのにルフィはそうしなかった。
「一体何のマネですかい!?さっきから蹴るぞ殴るぞと!同情ですか!?あっしぁ海軍本部大将だ。みな怪物だと言いますよ!今更憐れみなんざかけられたんじゃたまらねぇ…盲目が戦場にいちゃあ迷惑ですかね。あっしを怒らせてぇなら成功だ。あっという間に首が飛びやすよ!」
「うるせぇ!俺は目の見えねぇお前を無言でぶっ飛ばす事なんて出来ねぇ!俺おっさん嫌いじゃねぇからな!」
ルフィの行動は藤虎のプライドを傷付けた。しかし、予想外の回答に彼は唖然とした顔をした後、プッと吹き出し肩を震わせ笑いを堪えている。
「何笑ってんだお前ぇ!蹴るぞぉ!」
「ぷぷっ…その情けが何の役に立ちやすか!見損ないましたよ!そんな筋の通らねぇ話があるか!男の戦いにゃ立場ってもんがありやしょう!そう正直に同情やら好き嫌いを口にする奴がありやすか!」
重力が加わった刀がルフィの武装した足に触れ、横に放たれた重力によって吹き飛ばされてしまった。
「次は俺だ。」
「「「待て待て待てぇっ?!」」」
「お願いだから、もうあの怖い人刺激しないでっ!」
戦線離脱したルフィに代わりゾロが飛び出そうとするのを全員で止めに入る。懇願する花子を見つめ不満な顔をするも仕方無さそうに刀から手を離した。
「!?何だお前!離せ!」
「よしよくやったぁ!さあ、今の内に船へ!」
飛んできたルフィをこれ幸いとハイルディンの大きな手が捕まえた。暴れるルフィをよそに目の前の霧が晴れ視界に飛び込んできたのは、いくつもの船が一列に並ぶ姿だった。連なった木橋の先に、目を凝らしてやっと見える船の影らしきものを確認出来た。
「こんな危なっかしい所に誰が船を止めるよ?お前等の船は5km先の霧の中だ!我がヨンタマリア大船団の連結橋で海を渡れ!」
まだ先があるんだと、花子は自分を抱えているローを心配そうに見つめた。