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貞操観念低めな子が色んな感情をぶつけられる

第23章 鳥籠を飛び出して


藤虎の能力に絶叫する仲間達を遮って、行方不明になっていたローが慌てた様子で戻ってきた。

「おい!何をもたもたしてる!これじゃ何処にいても同じだ!早く船を出せ!」

「君等を待っていたんじゃないか!何処にいたトラファルガー・ロー!」

「わぁ~んっ!ロー君っー!!」

余りの恐怖に涙を流し自分に手を伸ばす花子をフランキーから受け取り、ローはひぃ~んと縋り付く彼女の背中を優しく撫でた。

「もうやだぁ…海軍の人、怖いっ!」

「心配するな、お前の事は俺が必ず守ってやる。」

「ロー君…!」

「お前等、この状況分かってんのかっ?!」

真っ直ぐ自分を見つめるローの瞳に花子はトクン…と胸を高鳴らせる。呑気にラブコメを始める2人にウソップが目くじらを立て叫んだ。

「ルフィはまだか!?」

「んな事言ったって…!いねぇもんはいねぇ…。」

「あ!いたぞ!ルフィだ!」

ローが戻って来たので後はルフィを待つだけだ。今だ姿を現さないルフィに焦りを覚えていると、瓦礫を器用に避けながら必死になって走る彼をウソップが発見した。

「?!ルフィ先輩~!前、前!そこの藤虎に気を付けてぇ!ビュッと一直線に船に乗ってけろ!ビュンと、躱して!」

バルトロメオが叫んだ時には藤虎の視線は既にルフィに注がれていた。いつ落下するかも分からない無数の瓦礫。少しでも早くこの場を離れなければいけない。それを分かっているのか、いないのか、刀を抜きかけた藤虎に対し、ルフィは巨大化した拳を真っ向から撃ち込んだ。

「何やっとんじゃあ、あいつは!躱せっつっただろ!?」

「相手は大将だぞ!あと上空の瓦礫を見ろ!モタモタしてる時間なんて…。」

「大将だからって何で逃げねぇといけねぇんだ!そういうのは2年前で終わりだ!海軍大将だろうが四皇だろうが、全員ぶっ飛ばして行かなきゃ俺は海賊王にはならねぇ!」

吹き飛んだ藤虎を確認してルフィは反動で空中回転して着地した。言いたい事も分かるが時と場合を考えて欲しい。あ…終わったと、項垂れる花子をローが優しく抱き締めた。


(最後にジルさんに会いたかった…。)

(大丈夫だ、花子。お前を1人にはさせねぇ。)

(ロー君っ…!)トクンッ…

(いい加減にしろよっ!お前等ーっ!?)

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