第23章 鳥籠を飛び出して
ルフィが目覚めたらすぐに出発出来るように"ドレスローザ"の要所には包囲網が張り巡らせていた。海軍の動きなども把握でき比較的、大事にならず港までゾロ達は到着できた。
「ルフィはまだか!?」
「海軍に見付かるのも時間の問題だぞ!」
「あれ!?トラファルガー・ローもいねぇ!」
「いつの間に!?一体何処へ?」
しかし、ここでルフィだけでなくローまでもがいない事に気付きその場にいた全員が驚愕した。
「あの馬鹿2人…もし間に合わなかったら置いて行くからな。」
「むしろ私を置いていって?」
「うおぉ~!早く来い馬鹿2人~!」
「また無視っ!?」
何度も自分は置いていけと言っているのに、何故か聞き入れて貰えず花子はもういいやとイジケ出した。2人の帰りを待つ一味の前に何かが勢いよく突進し、舞い上がる土煙の中から現れたのは大将藤虎。その姿を目にしたウソップとバルトロメオはこの世の終わりの様に叫んだ。
「ぎゃあーっ?!」
「ついに来たぁ!ルフィ先輩急いでけろ~!」
「叫んでも来ちまったもんは仕方ねぇだろ!ルフィが戻るまで持ち堪えんぞ!」
「何で、投げるのー?!」
臨戦態勢に入ろうとしたゾロがポイッと花子をフランキーに投げ渡していると、バルトロメオを筆頭にサイ、キャベンディッシュが同志達を率いて藤虎の前に立ちはだかった。
「効くのか?おめぇのバリア。」
「無敵でこそバリアだべ!」
麦わらの一味は奥に行けと言われ不満げなゾロだったが、バルトロメオは自分の能力であるバリアを張って藤虎を迎える。岩から飛び降りゆっくりと近付く彼の足音が嫌に響く。
「ななっ何じゃこりゃあぁ!?」
「マジかよ…!?」
「もうやだぁ!ジルさぁんっ!?」
ふと足を止めた藤虎は杖に見立てた刀を抜き去った。何をするんだとその疑問を口にする前に、地面に転がっていた瓦礫の山が一斉に空へ浮き上がった。
「ぎゃあ~!どうすっぺ!?どうすっぺ!?ルフィ先輩早く帰ってきてけろ~!」
「お前のバリアで何とかならねぇのか!」
「バリアには張れる制限があるんだべ!この範囲丸ごと覆えるかぁ!?」
大小問わず瓦礫達が東の港上空へ集まっていく。空が見えなくなるまで集められた無数の瓦礫が東の港のみに集中して落とされる様な事になれば、只ではすまない。