第23章 鳥籠を飛び出して
朝日が登ると同時に顔が割れていない錦えもんとカン十郎がルフィ達の為に食料を調達してくれた。肉の匂いに目を覚ましたルフィだったが、床に座る花子の姿を見付けた瞬間、弾かれた様に彼女に飛び付いた。
「ぅわあっ?!」
「麦わら屋っ!てめぇっ!」
「花子っ!よがっだぁ~!!」
勢いよくタックルしてきたルフィを支える事など出来る筈も無く、花子はそのまま床に転がり込んだ。端から見ればルフィが花子を押し倒している光景にローが眼光を鋭くさせ睨み付ける。
「花子っ、ごめんなぁ!守ってやれなくてっ!」
「そんな…ルフィ君、泣かないで?」
おいおい泣きじゃくるルフィの背中を叩き起き上がる様に伝えると、鼻を啜りながらゆっくりと身体を離した。
「これ、宝物何でしょ?」
「う"ん"っ…!」
「ルフィ君はちゃんと約束を守ってくれたよ?だからこうして私はここにいるんだもん。」
ありがとうと、麦わら帽子を被せ柔らかく微笑む花子に一瞬、目を見開くとルフィはゆっくりと彼女に顔を近付けた。
「…"シャンブルズ"」
「ひやぁっ?!」
「トラ男!何すんだよっ!?」
「そこまでは許してねぇ。」
肉と花子を入れ替えたローに不満そうな顔をしたルフィだったが、目の前の肉にあっさりと気持ちを移し貪りついた。
「ロー…君…。」
「…。」
何も言わずベットに下ろされ自分の前に跪くローに花子は戸惑いの表情を見せる。するりと足を掌に乗せローが見つめる先には痛々しい傷痕。
「…痛かっただろ?」
「…え?」
「守ってやれずに悪かった…だが、必ずお前の足は俺が治してやる。」
「?!」
ちゅっと足の甲にキスをするローに花子は顔を赤らめる。自分を見つめるローの視線が甘く優しいものだったから。
「あ…りがとう…。」
「…っ。」
「ロー君?」
自分はちゃんと笑えているだろうか?そんな事を思っているとローが無言で彼女を抱き締めた。
「花子…。」
「うん…。」
「花子っ…!」
「どうしたの?」
腕の中にいる花子の存在を確める様にローは彼女を抱き締めた。そっと身体を離すとローは花子の頬を優しく包み込む。
「好きだ…。」