第23章 鳥籠を飛び出して
兄弟の悲しい結末を聞いてフランキーはボロボロと大粒の涙を流していた。エースの事をよく知らない彼だが、情に熱いフランキーにとってサボの話は心揺さぶられるものがあった様だ。
「それじゃ、そろそろ行くよ。」
「もう行っちゃうの?せめてルフィに一言でも。」
「最後に顔を見に来ただけだ。起こさなくていいよ、ロビン。寝かしといてやれ。」
ルフィを起こそうとしたロビンを止め、サボはルフィが起きたら迅速にこの国を出ろと伝える。何でもサボ達を追ってCP0が引き返してくるらしい。
「CP0って何?」
「ロビンが詳しいから教えて貰ってくれ。あ、あとこれルフィのビブルカード。一応作っといた。」
「へぇ…いつの間に。」
「欠片は貰ってくよ。」
ゾロに渡したビブルカードの端を千切りサボはもう1度ルフィの方を見つめた。
「こいつには手を焼くだろうが、よろしく頼むよ。」
何処かで聞いた事のある台詞。その言葉にゾロはふと笑みを浮かべていると、今度は床に座る花子の前にサボがしゃがみ込んだ。
「じゃあ、またな。」
「うん…サボ君ありがとう。」
優しく自分の頭を撫でるサボを花子は少し寂しそうに見つめる。そんな彼女の表情にん"っと胸を押さえると、懐からルフィと同じビブルカードを彼女に手渡した。
「これは?」
「お前のビブルカードだ。こっちも貰っていくな。」
「…いつ作ったの?!」
そう言えば何処かに寄るとか言っていたなと、知らない内にビブルカードを作られ端を千切るサボに花子は身震いした。
「こいつの事もよろしく頼むな。」
「…てめぇに言われるまでもねぇ。」
「それを聞いて安心した。…今の俺じゃこいつを守る事は難しいからな。」
でも手は出すなよと、釘を刺す様にゾロを見つめた後、サボは花子の頬にそっとキスをした。
「?!」
「じゃあな。」
パチッと片目を瞑り手を振るとサボは何事も無い様に出ていった。
(はぁ~…相変わらずのキラキラオーラ…。)
(ふふっ、サボが言っていたハンカチの女の子は花子だったのね。)
(あの野郎っ!?)
(ところで、こちらのおなごは誰でござるか?)