第23章 鳥籠を飛び出して
花子 side
《…消えてゆくのは鳥カゴか、ドフラミンゴの支配か!カゴの外に広がる風景は切り刻まれた町か…はたまたもはや操られる事のない自由の地か!》
どれくらい進んだだろう。多分、そんなに進んではいないんだろうけど、力の入らない腕を必死に動かしていると外から声が聞こえてきた。
《勝者っー…ル~シィイィ~!!》
感動を押さえきれないと言った雄叫び。微かに聞こえる人々の歓声。そっか…ドフィ、負けちゃったんだ。
「ドフィっ…!」
彼は今、何処にいるんだろう?ズルズルと身体を引き摺っていると目の前にすらりと長い足が現れた。
「花子…?」
「貴方はっ…?!」
まさかの人物の登場に私は驚き目を見開いた。
ーーーーーー
ドフラミンゴ side
次第に消えていく鳥カゴを見つめはぁと息が溢れる。澄み渡る空は俺を嘲笑うかの様に晴れやかだ。
(俺もここまでか…。)
世界をぶっ潰すと言う俺の野望も消え残されたものは何もねぇ。
(花子…。)
自由になったお前も俺の側を離れて行くんだな。俺の手を離れいなくなってしまうのか…。
「ドフィっ!」
「?!」
ここにいる筈のない声にピクリと身体が震える。目だけを向けると革命軍のサボに抱えられた花子が泣きそうな顔で俺を見つめていた。
「サボ君!ドフィの側に下ろして!」
「…本当に大丈夫なのか?」
急かす様に奴の胸を叩く花子。言葉を失っている俺の隣にそっと下ろされ、横たわる俺の身体を抱き締めた。
「お前…何でここに…。」
「ドフィ…。」
縋り付き涙を流す花子に愛しさが込み上げる。お前はこんな時にでも俺の心配をするんだな…。
「悪いな…花子。俺はどうやら負けちまったらしい。」
身体も動かねぇ…泣いているお前を抱き締めてやる事すら出来ねぇ…。
「なぁ…花子。」
もうお前に会えなくなっちまうかもしれねぇが…最後にもう1度聞いておきたい…。
「俺の側を離れるな…。」
そう言うと一瞬驚いた顔をした後、花子は悲しそうに笑った。
「私は…貴方の側にいたかった…。」
「フフフッ…。」
涙を流しながらそっと俺にキスをする。…お前は本当に可愛い奴だ…。
「愛してるぜ…。」
可愛くて…残酷な奴だ…。