第23章 鳥籠を飛び出して
岩壁に激突したルフィをドフラミンゴは操る様に指を動かし、血塗れになった彼を群衆の前に曝け出した。
「どいつもこいつも俺の籠の中で大人しく操られてりゃいいものを…。そうすればこんな大虐殺せずに済んだんだ!」
「籠…操る…!?いい加減にしろぉ!」
縮小する鳥カゴを見つめルフィは力任せに自分に絡み付く糸を引き千切った。空へ上がったルフィを追い、ドフラミンゴも空を飛んだ。彼の背後から武装色を纏った糸針が列を成して空を泳いでいる。
「何でもかんでもお前は手の中に閉じ込めて!どいつもこいつも操ろうとするから俺は息がつまりそうだ!」
「血を恨め!お前達は操られるだけのゴミとして生まれたんだ!お前等人間と俺とは違う!」
「だから、花子も傷付けたのか!?」
「…あ?」
ニヤニヤとルフィを嘲笑っていたドフラミンゴの顔から笑みが消えた。一呼吸置きルフィは彼に向かって叫んだ。
「あんな所に閉じ込めてっ!歩けねぇ様にして!それで花子が幸せだとでも言うのかよっ!?」
「おかしな事を言う。あいつは自ら望んで俺の側にいるんだ。」
「違う!」
あの時、花子は確かに言った。ジルに会いたいと。縋る様に自分に訴えかけたのだ。
「お前をぶっ飛ばして俺は花子を連れて出ていく!」
「やれるもんならなぁ、小僧!"蜘蛛の巣がき"!」
ドフラミンゴの掌を中心に糸が蜘蛛の巣の様に生み出される。それを確認してルフィは最後の攻撃に出た。
「"ゴムゴム"のぉ~…!」
「!」
空気を吹き込んだルフィの拳が通常の数倍以上膨らんだ。足下に控えるドフラミンゴに向けて勢いよくそれが振り落とされる。
「"キングコング・ガン"!!」
2つの攻撃が衝突した瞬間、国が揺れる程の衝撃が襲った。数秒の競り合いの後、ルフィの拳がドフラミンゴの凶弾を打ち砕き巨大な影が彼に襲い掛かる。次の瞬間、爆音が鳴り響き国を破壊する勢いで何かが落下した。
「ルーシー…?」
ドフラミンゴの姿は何処にもない。息を吐き出して一瞬で縮んだルフィが渦巻状に不規則に回り空を飛んでいる。同時に気を失ったのか、突き出た鋭利な屋根に頭から突っ込もうとしていた時。
「"ROOM"!」
ローの能力により小岩と入れ替えられたルフィがレベッカとヴィオラの足元に崩れ落ちる。