第23章 鳥籠を飛び出して
「つーかさっきのリストん中にレベッカも入ってたけど、あいつ大丈夫かな!?」
コロシアムで仲良くなったレベッカの身を案じ、電伝虫に呼び掛けるルフィ。彼の声に答える様に電話口から声が聞こえてきた。
《私ここにいるよ!ルーシー!》
「ん?レベッカ!?お前ロビン達と一緒にいたのか!あれ?試合は?」
《試合はルーシーじゃないルーシーが優勝して…あれ!?いない!さっきまでいたのに…。》
ルフィの問いに困惑するレベッカの後ろで甲高い声が勝手に離脱したのを咎めている悲鳴が聞こえた。
「それよりお前!今ここに兵隊がいるんだけど…あれ!?いないぞ!さっきまでここにいたのに!」
【スートの間】で出会った男。彼の正体はシュガーの能力によりオモチャの兵隊に姿を変えられていた、"ドレスローザ"元軍隊長キュロスだった。
《兵隊さん!?兵隊さんそこにいないの!?ねえ、ルーシー!兵隊さんも人間に戻ったんでしょ?どんな人!?》
「…?おめぇ何言ってんだ!あの片脚の兵隊がお前の父ちゃんだったんだよ!銅像のおっさんだった!」
電伝虫からレベッカが息を飲んだのが分かった。幼い頃に母を亡くしずっと側にいてくれた兵隊が実の父親だったとは。鼻を啜る音と漏れた嗚咽に、ルフィは齧り付く勢いで電伝虫に飛び付いた。
「レベッカ!おい、聞いてるか!?まだ泣くなよ!兵隊の奴は絶対に死なせねぇ!だからお前も必ず無事でいろ!お前の食いたがってたメラメラはやれなくて悪かったけど、その代わり…。」
一呼吸置いてルフィは力強く言い放った。
「ドフラミンゴは必ず俺がぶっ飛ばしてやる!だからお前は俺等の仲間の側から離れんな!」
《うん…!うん!うん!ありがとう…ルーシー…!》
「分かったな!」
《うん…!》
必死に訴えたルフィの思いはしっかりとレベッカに伝わり、涙ながらに何度も頷きお礼を言った。お互いの状況を把握しているとローが顔を顰め声を荒げた。
「おい!麦わら屋!てめぇこの状況分かってんのか!?ドフラミンゴを生かす事でカイドウと衝突させるつもりだったんだ。今ここで奴を討てばSMILEを失うカイドウの怒りは直接俺達に向けられる!怒れる四皇と直接戦う事になるんだぞ!」
ローの言う事はもっともだ。ビジネスを邪魔され怒り狂ったカイドウはその元凶を根絶やしにしてくるかもしれない。