第22章 動き出した歯車
ロー side
「ドフィ…どうしてロー君が此処に?」
(ドフィ…だと?)
俺の方にチラリと目線を送り花子は戸惑っている様子で奴を見上げた。限られた奴等しか呼ぶ事を許されていない愛称。それを許されている花子は本当にドフラミンゴの女になってしまったのか?
「お前は知らなかったな。ローは元俺の部下だ。餓鬼が大人の真似事をして遣り過ぎたんで、説教をしていたところだ。」
「そう…なんだ…。」
何で…何でよりによってこの男なんだ!?他の奴ならまだしも、お前を抱き締めているのが何でこいつ何だよっ!?
「…おい、そいつ怪我をしてんのか?」
「あ?…あぁ、これか。」
「?!っドフィ!」
白いワンピースの裾から覗く花子の両足首には包帯が巻かれていた。ニヤリと嫌な笑みを浮かべそこを撫で上げたドフラミンゴに、花子が焦った様に身体を捩る。
「こいつも昔はじゃじゃ馬だったんだ。目を離すとすぐにどっかに飛んで行っちまう。」
「やだっ!止めて、ドフィっ!」
「?!」
嫌がる花子をよそに足首に巻いている包帯がスルスルと解かれ俺は声を失った。白く細い足首には刃物で斬られた様な痛々しい傷痕。花子の足はもう…。
「やだっ…見ないで、ロー君っ!」
「ドフラミンゴォっ、てめぇっ!?」
「フフフッ!何を怒っている?大事なもんは手元に置いておくもんだ。自由に飛び回る翼など…いらねぇだろ?」
ポロポロと涙を流す花子にドフラミンゴはキスをするとベビー5を呼びつけ下がる様に言い付ける。
(許さねぇ許さねぇ許さねぇっ!!)
俺の大事な人を奪ったこいつをっ!俺の…大切な奴を傷付けたこいつをっ!
「花子っ…!」
ギリッと歯を食い縛りベビー5に抱えられ部屋を出る花子に叫ぶ。お前は俺が必ず助けてやる!この命に変えてもっ!
「…。」
「っ?!」
パクパクと口を動かし何かを伝える花子に目を見開いた。
ー生きて…。ー
優しく微笑む花子の顔が…あの時のコラさんと重なった…。
(愛してるぜっ!)
(ロー君、大好きっ!)
(あいつは…自由だっ!)
(生きて…。)