第22章 動き出した歯車
ロー side
ー…何だ、ちゃんと言えんじゃねぇかよ。ー
黒足屋の言葉に俺は胸につっかえていたもんがスッと取れるのを感じた。何で俺はこんな簡単な事も言えなかったんだ…。
「…すまねぇ。」
「さぁ、何の事だ。」
「お前、損な性格してんだろ。」
「俺は全てのレディの味方だからな。」
花子ちゃんは特別だけどっと、煙草を燻らすこいつは本当に馬鹿だと思う。
「あ、だからって彼女の事を諦めた訳じゃねぇぜ?」
「あ"ぁ"っ!?」
「お前が彼女を傷付けたのは事実だ。そんな奴に花子ちゃんは渡せねぇよ。」
ぐっ…そう言われると何も言えねぇ。だが、こいつより俺の方が1歩リードしている筈だ。
「…あいつには手ぇ出すなよ。」
「さぁてなぁ~。」
「てめぇっ…!?」
「花子ちゃんて可愛いよなぁ~♡いつもは少し大人っぽいのに、そう言う時は甘えてくるしよぉ~♡」
既に出されてんじゃねぇかっ!?あの馬鹿…!やっぱり会ったら分からせる必要があるな。
「お前が惚れたのはそう言う子だ。」
「あ?」
「俺だけじゃねぇ…ルフィやあのまりも野郎も。多分、出会った奴等皆…彼女に魅了されんだ。」
それぐらい良い女に惚れちまったんだと、愛おしそうに空を見つめる黒足屋に顔を顰める。そんな事…分かってんだよ。
ーロー君!大好きっ!ー
あいつにそう言われるとガラにも無く胸が高鳴る。あいつといると当たり前の日常も新鮮で色鮮やかに見える。
「はぁ…厄介な女に惚れたもんだ。」
「それぐらいが競争率が合った方が燃えるだろ?」
なぁ、花子。今から俺がやろうとしている事はもしかしたらお前を悲しませるかもしれねぇ。
ーロー君!ー
だが、もし全てを成し遂げたら…またお前をこの腕で抱き締める事を許して欲しい。
(因みに今の最有力候補はチョッパーだぞ。)
(タヌキ屋?)
(何でも一目惚れなんだとよ。運命の人だって騒いでたなぁ。)クソ羨ましいっ!
(…意味分かんねぇ。)