第22章 動き出した歯車
その後はシーザーの受け渡しの場所と時間を伝え、相手の人数指定等を伝える前にルフィが強制的に通信を切ってしまった。
「ふぅ~…相手のペースに持ってかれるとこだった…!」
「持ってかれてたのは、おめぇだけだ!」
「…ねぇ。」
危なかったと額を拭うルフィにウソップがツッコミを入れていると、ナミが神妙な面持ちで口を開いた。
「さっき言ってたでしょ?…花子はドフラミンゴのものだって。」
「そんなのミンゴが勝手に言ってるだけだ!」
「でも花子が拐われて随分経つのよ?その間に助けを求める事だって出来た筈!…もしかしら本当に。」
しゅんと眉を下げるナミに皆言葉を詰まらせる。本当に花子はドフラミンゴの仲間になってしまったのか?そうすると自分達は彼女とは敵同士になってしまうと。
「知らんっ!」
「ルフィ!」
「そんなの知らねぇよ!俺は花子が拐われたから助けに行くだけだ。そんなの花子に会って聞いてみればいいだろ!」
花子が拐われた、じゃあ助ける。ルフィの頭の中はその方程式で成り立っていた。物事を良く考えていない様に思えるが、正面からぶつかり合う真っ直ぐな彼に皆救われていた。
「…これは仮説だが、おそらく花子はドフラミンゴに弱味を握れているんじゃねぇか。」
「どう言う事だ?」
「俺は1度花子の住んでいた島に立ち寄ったが…そこで元ドフラミンゴの部下に会った。」
ローはルフィ達に全てを話した。ミアの事、ジルの店にドフラミンゴの部下が潜入している事。それによって花子は助けを求める事が出来なかったのではないかと。
「そんなっ…?!」
「じゃあ…花子ちゃんはずっとジルのおっさんや島の皆を守る為、1人で耐えてたって事かよっ!?」
「…胸糞悪いな。」
「俺の持論だ、どうかは分からねぇが…奴は言葉巧みに人の心を弄ぶ。」
ローの仮説にサンジやゾロは歯を食い縛る。あの小さな身体でどれだけの物を背負っていたのか。
「ん?ところでよぉ、トラ男。お前何で花子の事を知ってんだ?」
"シャボンディ"でも彼は花子と親しげに話していた。痛い所を突かれローは顔を顰めると帽子の鍔で目元を隠した。