第22章 動き出した歯車
太陽が上り始め空が明るくなってきた早朝、ドフラミンゴは目を覚ました。ふと自分の腕の中を見れば気持ち良さそうに眠っている花子の顔。
「うむ~…。」
「フフフッ…。」
そっと頬を撫でれば甘える様に大きな手に擦り寄る花子が堪らなく可愛くて、ドフラミンゴは穏やかな顔で見つめている。
「…ドフィ、朝刊が届いた。」
「あぁ。」
扉を叩く音の後にディアマンの声が部屋の外から聞こえすぐに行くとだけ伝えると、ドフラミンゴは眠っている花子の額にそっとキスを落とした。
「…どふぃ…?」
「起こしちまったか?」
「ん~ん…。」
まだ寝惚けているのか自分の胸に額を押し付けグリグリと甘える花子にドフラミンゴはガラにも無くこの時間がずっと続けばと思った。
「おしごと…?」
「あぁ、まだお前は寝てろ。」
身体を起こし身支度を整えている彼の姿をぼぉっと花子は見つめていた。
「いってらっしゃい。」
「フフッ、いい子で待ってるんだぞ。」
軽くキスをすればふにゃりとした笑顔を見せる花子の頭を撫でドフラミンゴは静かに部屋を出ていった。
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ぷるぷるぷるっ
サニー号の甲板に電伝虫の声が鳴り響く。朝見た新聞にはドフラミンゴの【七武海脱退】と【ドレスローザの王位放棄】が記されていた。ニヤリと笑みを浮かべたローは相手が通信を繋ぐのを待った。
《俺だ…七武海を辞めたぞ。》
思いの外落ち着いた声のドフラミンゴに違和感を感じるも彼が七武海を脱退した事は紛れもない事実。
「もしもし!俺はモンキー・D・ルフィ!海賊王になる男だ!」
「お前、黙ってろっつったろ!」
ドフラミンゴの声が聞こえるとルフィがローから受話器を奪い捲し立てる様に声を荒げる。考えなしに行動をする彼の頭をウソップがいい加減にしろと殴り付けた。
「おい、ミンゴ!花子はどうした!?そこにいるのか!?」
《フフフッ!お前達は余程花子にご執心な様だな。…だが諦めろ。あいつは俺のもんなんだよ。》
「ふざけるなっ!お前が無理矢理拐ったんだろっ!?」
《ふざけてんのはてめぇ等だ。》
ゾクリとする冷たい声。その声色からドフラミンゴが花子にどれ程執着しているか見受けられ、ローはぐっと顔を歪めた。