第21章 あなたはわたしのもの
普段部屋で過ごしている花子は基本車椅子で移動している。しかし、それには鎖が繋がれており部屋の中以外では移動出来る事はない。
「…。」
手の中にある小さな鍵の付いた箱を見つめふぅと溜め息を漏らす。パカッと蓋を開けると中にはマルコのビブルカードとベックマンから貰ったイヤリング。
「ふふっ、やっぱり可愛いなぁ…。」
自分が与えた物以外を身に付ける事をドフラミンゴは酷く嫌がり付ける事は殆んど無くなった。しかし、彼に隠れそれを付けるのが花子の密かな楽しみでもある。
(この紙が記す先にマルコがいる…。)
箱の中で動き出すビブルカード。それを辿ればマルコに会える。出来る筈ないのにたまにそんな事を考えてしまう自分に、花子は自嘲しそっとイヤリングを外し箱に戻すと鍵をかけた。
「楽しそうだな。」
「のぁっ?!ドフィ?!もう、入るならノックぐらいしてよ!」
「お前と俺の仲だろ?」
背後から声を掛けられビクッと肩を震わせる花子。ニヤニヤと笑みを浮かべるドフラミンゴの視線の先には先程花子が鍵をかけた箱。
「着替えていたりしたらどうするのよ!」
「…。」
「ドフィ?」
スッと真顔になり何も言わなくなったドフラミンゴに首を傾げると、ふわりと彼女の身体を抱き上げた。
「お前は…俺から離れていかねぇよな?」
「どうしたの?」
「…。」
「…大丈夫よ、私は貴方の側にいるわ。」
自分の首筋に顔を埋め擦り寄るドフラミンゴの頭を花子は優しく撫でた。甘える様な仕草なのに何故か花子には小さな子供が縋る様に見えた。
「お前は俺のものだ。」
「貴方は私のものよ。」
ドフラミンゴの目を見つめ花子はそっと微笑む。お互いを縛り付ける呪いの言葉。引き寄せられる様に重なる唇。しかし、新しい時代はそんな2人を引き離す様に刻一刻と近付いていた。
(今日はお前にプレゼントを持って来たんだ。)
(もういらないよ…。)沢山あるし…
(自分の女は着飾りたいもんだぜ?)
(…ばぁか。)