第21章 あなたはわたしのもの
ミアの家に招かれ昔の話をする彼女にローは適当に相槌を打つが頭を巡るのは先程のジルの言葉。
「ところで、何で貴方が此処に?」
「…お前、花子と言う女を知ってるか?」
花子と言う名前にミアは目を見開いた後、悲しそうに眉を下げた。ローはジルにも感じた違和感に疑問を覚えた。花子の名前を出すとジルも何故か悲しそうなそんな顔をしたからだ。
「…花子ちゃんに会いに来たの?」
「あぁ、あいつが働いているって店に行ったがいねぇって門前払いを食らったがな。」
「そっか…。」
「…花子に何かあったのか?」
悲しそうに笑うミアにローは焦りにも似た気持ちが沸き上がる。
「ねぇ…花子ちゃんが乗っていたって言う海賊船は、もしかしてローの船?」
「…多分な。」
「ふふっ、だからジルさんあんなに声を荒げてたんだ。」
一部始終を見ていたのか可笑しそうに笑うミアにローは怪訝な顔で彼女を見つめる。
「前にね、花子ちゃんが話してくれたの。自分は元々海賊船に乗っててそこに好きな人がいたって。」
「…。」
「でも、その人は他の人を好きになって…それが耐えられなくなって船を降りたって…。」
「違ぇっ!」
突然大きな声を出したローにミアは目を見開く。余り感情を表に出さないローが声を荒げ思い詰めた様に顔を歪めていたからだ。
「俺はっ…花子の事が好きだった!それは今も変わらねぇ!」
「貴方、昔から口下手だったからね。どうせ言わなくても伝わるだろうとか思ってたんでしょ?」
呆れた様子のミアにぐっと言葉を詰まらせる。確かにあの時、自分はそう思っていた。言わなくても伝わる。ヤキモチを焼く花子が可愛くて、もっと自分の事を考えて欲しいと。
「それで離れていかれたら世話無いわね。」
「…うるせぇ、花子は何処だ。」
「どうしよっかなぁ~…。」
「てめぇっ、いい加減にっ「教えても良いけど…彼女はもう貴方の手の届かない所にいるわよ。」
真剣な面持ちで自分を見つめるミアの様子にローは首を傾げる。手の届かないとは何だ?まず花子はこの島にいないのか?
「花子ちゃんは…今"ドレスローザ"にいるんだもの。」
ローは鈍器で殴られた様な…そんな衝撃を頭に感じた。