第21章 あなたはわたしのもの
ロー side
俺は1人花子がいるであろう島に辿り着いた。ペンギン達は先に"ゾウ"に向かわせている。後は、俺のやるべき事を果たすだけだ。だが…。
(最後に…お前の顔が見たい。)
これから俺のやる事は生半可な覚悟じゃ成し遂げられねぇ。その為なら自分の命さえ惜しくない。
「此処か…。」
ある店の前に辿り着くと扉にはcloseの文字。まだやってねぇのかと肩を落とすとガチャリと扉が開いた。
「おめぇは…。」
「此処に花子と言う女はいるか?」
中から出てきたのはヒューマンショップで花子と一緒にいた男。そいつは俺の顔を見るなり顔を歪めた。
「…花子に何の用だ。」
「お前には関係ねぇ。花子を出せ。」
「悪いがあいつは此処にはいねぇ。いたとしてもお前に会わせるつもりはねぇ!」
「おい、どう言うっ…?!」
男はそれだけ言うとバタンと勢い良く扉を閉めた。ドアノブに手を掛けるが鍵をかけられ開ける事も叶わない。
「くそっ!」
やっと花子の手がかりを見付けたのに会う事も出来ねぇのかよ!苛立つ気持ちに舌打ちを溢すと後ろから声を掛けられた。
「もしかして…ロー?」
「あ?」
振り返ればそこに女が立っていた。俺を見つめるその瞳は驚きと嬉しさが入り交じっている。
「久し振りね!こんなに大きくなって!」
「…誰だ、お前は。」
「やだ、私よ!昔、若様の所で一緒にいたじゃない。」
若様。その名前に思わず顔を歪める。だが、この女の顔には何処か見覚えがある。
ー若様に失礼な事言わないで!ー
「お前…ヴィヴィアンか?」
「思い出してくれたのね!まぁ、あれから何年も経ってるし。」
懐かしいと顔を綻ばせるヴィヴィアンにふと気持ちが緩む。歳も近い事もあってかこいつとは何かと話す事は多かった。
「折角だし家に寄ってく?あ、でも仲間も一緒かしら?」
「いや、今は1人だ。」
取り敢えずこいつがいると言う事は奴の情報も少しは聞き出せるだろう。あの頃と変わらぬ笑顔のヴィヴィアンに少し安心しながら俺は後を付いて行った。
(それにしても大きくなったわね!あの頃は私の方が大きかったのに。)
(お前は…年取ったな。)
(ちょっと!そこは綺麗になったとかないの?)