第21章 あなたはわたしのもの
会場を去ったドフラミンゴは泊まっているホテルの部屋に入ると、花子を抱えたままソファーに腰を下ろした。
「何があった?」
「…何でもない。」
顔を覗き込もうと身体を離そうとしたら首に回る花子の腕に力が入る。優しく背中を撫でるともっとしろと言う様に身体を密着させる仕草に自然と口元を緩ませた。
「何か飲むか?」
「…いらない。」
「腹は減ってねぇか?」
「…空いてない。」
ぷるぷると震え何かに怯えている花子の様子に、あの男殺すかと物騒な事を考えながらそっと花子の頭を撫でる。
「俺の小鳥は何にそんなに怯えてるんだ?」
「…。」
「お前の大事なもんは…傷付けさせねぇよ。」
ドフラミンゴの言葉にパッと花子は顔を上げた。島に手出しが出来なかったとカバネが言った言葉。
「やっと顔を見せてくれたな。」
「もしかして…ドフィが?」
「フフフッ!さぁな、俺は約束を守っただけだ。」
愛おしそうに頬を撫で自分を見つめるドフラミンゴに花子の瞳が揺れる。
「ドフィ…大好き。」
「俺は愛してるぜ。」
こうしてドフラミンゴが愛を囁くのはコハクが必要だから。しかし、たまに花子は錯覚してしまいそうになる。自分は必要とされている、彼は自分を愛してくれているのだと。
「折角めかし込んだんだ、もう少しパーティーを楽しめば良かったな。」
「…いい、ドフィと2人でいたい。」
甘える様に自分の胸に頬を寄せる花子に、ドフラミンゴはトスッと何かが心臓に刺さったのを感じた。着飾った花子は会場にいる誰よりも美しく自慢したいと思う反面、誰にも見せたくないと言う気持ちに葛藤していた。
「フフフッ!それじゃあ、残りの時間はお前を可愛がるとするか。」
「…エッチ。」
しゅるりと花子の首で結んでいた紐を解いた時、彼女の腹からくぅっと可愛らしい音が鳴った。
(…おい。)
(安心したらお腹空いちゃった!)
(…ルームサービス頼むか。)
(わ~い!ドフィ、大好きっ!)