第21章 あなたはわたしのもの
花子 side
おじ様は隣にいる綺麗な女の人の頬にキスをすると席を外させた。その流れる様な仕草に慣れてるなぁと、見つめているとおじ様はまるでゴミを見る様な視線を私に浴びせる。
「さて、レディ。何故、貴女がここに?」
「…私は付き添いです。」
「ふむ、あの後誰かに買われましたか。まったく…下賎な者とは実に卑しい。まるで寄生虫の様だ。」
そんな者を貴方は10億も出して買おうとしたけどね!嫌みを言うおじ様の言葉を流していると反応しない私の態度が癇に障ったのか、顔を歪め身体を屈め顔を近付けてきた。
「あの時、買わないで正解でしたよ。貴女の様な者を連れていたらとんだ笑い者だ。」
「…。」
「あの後、海軍に貴女方を捕まえてもらう様に言ったんですが何故か聞き入れて貰えなかったんですが…まさかあの赤髪の縄張にいたとは。」
それからもおじ様の嫌みは止まらない。しまいにはジルさんの事も悪く言われ思わずムッと顔を顰めた。
「でも私は諦めませんよ…どんな手を使ってでも貴女方を地獄に落としてあげます。」
「?!」
狂気に歪むおじ様の笑みに背筋がゾッとした。止めて…ジルさんや島の人達には手を出さないで…!
「いいですね…貴女のその顔は男の加虐心を唆る。」
「…あの人は関係ないです。」
「そうもいきません。彼は私の顔を無礼にも殴ったのですから。」
「っ!」
「あぁ、そうだ。貴女を買った者から買い戻すのも1つの手ですね。死よりも辛い苦痛を「俺の女に何か用か?」
ニタリと嫌な笑みを浮かべるおじ様に俯いていると、ふわりと身体が宙に浮いた。嗅ぎ慣れた香りに胸がきゅっと締め付けられ、私は彼の首にしがみ付く。
「ドフラミンゴ…様?!」
「よぉ、カバネ公爵殿。こいつに何か用か?」
「いえ…レディとは少々顔見知りで。彼女は…貴方の?」
「あぁ、俺の大事なパートナーだ。」
ドフィに抱き付いている私からはおじ様の顔は見えないけど、気配だけで驚き息を飲んでいるのが分かる。
「何故…貴方がその様な者を!」
「貴殿には関係の無い事だが…こいつを傷付けようってんなら…容赦はしねぇぞ。」
「っ!」
ピリピリとドフィから発せられる殺気に会場の空気がピンと張り詰める。それでは失礼すると、私を優しく抱え直しドフィは悠然と会場を後にした。