第21章 あなたはわたしのもの
「"ドレスローザ"って…何でまたそんな所に?」
「俺もまだ情報を掴めてねぇんだが…どうやらドフラミンゴの狙いは花子みてぇんだ。」
ジルはマルコに全てを話した。ドフラミンゴの目的、最後に言った花子の言葉。
「俺は…あいつの気持ちに気付いてやれなかったっ…!」
「おっさん…。」
悔しそうに歯を食い縛るジルからは花子の事を大事にしていたと言う事がマルコにも伝わってくる。
「赤髪にはその事は伝えたのか?」
「…言ってねぇ。」
「何でっ「あいつがっ…花子がそれを望んでねぇっ!」
大丈夫だ、心配するなと気丈に振る舞う花子をジルは思い出す。本当は怖い筈なのに、不安で仕方がない筈なのに…彼女は自分の事よりジル達の事を心配していた。
「それにお前だって知っているだろ。ドフラミンゴの後ろには…。」
「…カイドウか。」
「あぁ、それに奴は七武海だ。シャンクスの奴もそう簡単には手を出せねぇだろうよ。」
四皇、海軍。そんな奴等が相手では流石のシャンクスも骨が折れるだろう。何より抗争ともなれば花子の身も危険に晒される。
「今日は疲れただろ!今飯用意するからゆっくりしてけ!」
「すまねぇ。」
無理に笑顔を作り厨房に向かうジルの背中を見つめマルコは拳に力を込めた。
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マルコ side
おっさんに用意してもらった宿に入り俺は力無くベットに倒れ込んだ。思い出すのは最後に見た花子の顔。
ー落ち着いたら会いに行くよい。ー
ー…絶対だよ。ー
不安そうな、悲しそうなそんな顔。花子の悲しみを少しでも和らげたくて会いに来たが、当の本人は此処にはいない。
「…情けねぇ。」
オヤジもエースも守れねぇで…2人の弔い合戦にも敗北した。バラバラになった仲間の居場所も分からねぇ。
「好きな女ですら…守れねぇのかよいっ…!」
何が白ひげ海賊団1番隊隊長だ、何が"不死鳥"のマルコだ!守らなきゃならねぇもんも守れない自分の無力さに苛立ち、拳をベットに叩き付ける。
「花子…。」
愛しい女の名前を呟く。泣いてねぇか?寂しくねぇか?
ーこれを持ってればいつでもマルコに会えるね!ー
ビブルカードを見つめキラキラと嬉しそうな顔のあいつを見た時、絶対に守ると誓ったのに…。