第21章 あなたはわたしのもの
仕事をしているドフラミンゴの元へヴェルゴが訪ねてきた。彼は海軍本部中将と言う地位にいるが、それは表の顔。その正体はドフラミンゴファミリー最高幹部の1人で、ドフラミンゴの指示により海軍に潜入している海賊だった。
「やぁ、ドフィ。久し振りだな。」
「ヴェルゴか。…今日の昼飯はハンバーガーか?」
「そうだが…何故分かった?」
頬にハンバーガーのカスをくっ付けているヴェルゴはキョトンとし首を傾げる。本人は本当に気付いていない様子。そんな彼にドフラミンゴは相変わらずだなと笑みを浮かべた。
「スカイオルカの件だが、花子がいた島にも姿を現せていない様だ。」
「…そうか。」
「…ドフィ。彼女は本当にスカイオルカを従えているのか?」
花子が"ドレスローザ"に来て早2年。今だコハクは姿を現さず、ファミリーの中には本当に彼女は利用価値があるのかと疑問を浮かべる者も出てきた。
「…お前が花子の事を気に入っているのは分かっている。だが、本来の目的を忘れるな。」
「…。」
「利用価値の無い女など…邪魔なだけだ。」
報告は以上だとヴェルゴは部屋を出ていった。静かに閉まった扉を見つめドフラミンゴは顔を手で覆い天を仰いだ。
(利用価値…か。)
彼が花子を拐った目的はコハクを手に入れる為。最初はその筈だった。
ー貴方の側を離れないわ。ー
しかし、彼女と接していく内にドフラミンゴの中にファミリーとは違う感情が芽生え始めていた。側にいたい、手離したくないと。
「…俺も焼きが回ったか。」
ーーーーーー
(あれから2年も経つんだなぁ…。)
窓際に腰掛け花子はぼぉっと外を眺めていた。2年が経ち肩まであった黒髪は腰まで伸び、外に出る事が無くなった肌は陶器の様に白く美しく成長していた。
(これで…いいんだよね?)
ふと花子は自分の足元に視線を落とす。足首に巻かれた包帯。ニムルが殺された日、ドフラミンゴは花子の足の健を斬り付け彼女は歩く事が出来なくなってしまった。
ーお前は…俺の側を離れるなっ…!ー
「大丈夫…私は…貴方のものよ。」
子供の様に縋る彼の姿を思い浮かべ花子はポツリと呟いた。