第20章 愛と情熱の国
椅子に座り窓から外を花子は眺めていた。その顔はとても穏やかだった。
「外から何が見える?」
「ドフィ!」
部屋に入ってきたドフラミンゴに気付き花子は嬉しそうに微笑みかける。
「天気が良いからドフィとお散歩したいなって思ってたの。」
「フフフッ、そうか。それじゃあ、今から庭にでも行くか?」
愛おしそうに頬を撫でる大きな手に擦りよればふと彼とはまた別の香りが花子の鼻を掠める。
「…ドフィ、もしかして浮気した?」
「なんの事だ?」
「…いつもと違う香りがする。」
ムッと頬を膨らませる花子に可笑しそうに笑いながらドフラミンゴは背中に隠していた物を彼女に差し出した。
「花?」
「お前は本当に鼻が利くな。おちおち浮気も出来ねぇぜ。」
「…しないでよ。」
真っ白な可愛らしいジャスミンの花。花子は花束を受け取ると嬉しそうに顔を寄せた。
「ジャスミンの花言葉は知ってるか?」
「えぇ~?何だろう…。」
う~んと考える花子を抱き上げるとドフラミンゴはそっと彼女の唇にキスを落とす。
「【あなたは私のもの】」
「!ふふっ、本当にドフィは私の事大好きね。」
「フフフッ!当たり前だろ?」
抱えられた花子の足首には包帯が巻かれていた。逃げる事の出来ない鎖。
「じゃあ、この花ドフィにもあげるね。」
「おいおい、貰ったもんを突き返すのか?」
少し拗ねた素振りを見せるドフラミンゴの首に抱き着きそっと彼の耳元で囁く。
「だって…【ドフィは私のもの】でしょ?」
「!あぁ、そうだな。」
シタリ顔の花子にドフラミンゴは柔らかく、幸せそうな顔をしていた。
「俺から離れるなよ。」
「貴方の側を離れないわ。」
お互いを縛り付ける鎖。それは固く複雑に絡み合っていく。