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貞操観念低めな子が色んな感情をぶつけられる

第20章 愛と情熱の国


しんと静まり返る病室。声を発したのはアギトだった。

「でも、なんでドフラミンゴの部下であるミアがコハクと一緒にいたんだ?」

「…私は花子ちゃんを若様…ドフラミンゴから逃がそうとしました。」

ミアは自分が騙されていたと知りながらも変わらず接してくれた花子を、どうしても放って置く事が出来なかった。例え、愛する人に殺される事になったとしても…。

「コハクが何故、私を助けたのかは分かりません。…結局は彼女を逃がす事が出来ませんでした。」

ごめんなさいと頭を下げるミアにジルは何も言わずそっと手を置いた。

「…お前も辛かったんだな。」

「ジルさん…?」

「お前は花子を助け様としてくれた。仲間を裏切ってでも。」

だからコハクもミアを助けたんだろうと、優しく微笑み頭を撫でるジルにミアは涙を流しきゅっと唇を噛んだ。

ーーーーーー

取り敢えずはゆっくり休めとミアに伝えジルとアギトは病室を出た。

「親父、この事シャンクスさんには…「言うな。」

「何でだよっ!あの人だったら花子ちゃんを助けてくれる筈だ!」

確かに彼なら花子を助けてくれるだろう。しかし、ドフラミンゴの後ろにいるのは彼と同じ四皇の…。

「ミアの話が本当なら奴は花子に何かする事はねぇだろう。」

「っ、親父は!花子ちゃんの事が心配じゃねぇのかよっ!?」

「そんなわけねぇだろっ!?」

ギリッと歯を食い縛り怒りを露にするジルにアギトは言葉を失う。固く握られた拳からは血が滴り落ちていた。

「まずは情報を集める事が第一だ。シャンクスを頼るのはそれからでも遅くねぇ。」

先に帰っていろと言われアギトは何も言わずそれに従い自宅に帰って行った。

「っ!糞ったれがっ!」

ダンッと壁を殴り付けジルはその場に座り込む。何故、あの時自分は気付かなかった?何故、感情を押し殺していた花子に気付いてやれなかった?

ーねぇ、ジルさん!今日はこんなの作ってみました!ー

(花子…。)

ー私ね、この島にこれて…ジルさんに出会えて良かった!ー

(花子…!)

ージルさんっ!大好きだよっ!ー

「お前は…ちっとも俺を頼ってくれねぇな…。」

ポツリと呟いたジルの声は誰に聞かれる事なく消えていった。

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