第20章 愛と情熱の国
ドフラミンゴ side
「アァッ!ダメっ、イッちゃっ!」
(つまらねぇ…。)
俺に跨がり腰を振る女を見つめ花子の事を思い出す。悲しむ訳でも、傷付く訳でも無く本当に分からねぇといった戸惑いの表情。
「ドフラミンゴ、さまぁっ!きもち…っ!」
(…煩ぇな。)
馬鹿みたいにでけぇ声を上げる女に嫌気がさし振り続ける腰を掴み一気に貫いた。ぎゅっと締まるナカに欲を吐き出すが残るのは苛立ちだけだ。
「どけ。」
俺の上で力尽きた女を退かせ起き上がると腕が絡み付いてきた。
「ドフラミンゴさま…どちらに…?」
「邪魔だ…失せろ、お前等。」
言い様の無い苛立ちにシャワールームに向かった俺は頭から冷水を浴びる。
(つまらねぇ、つまらねぇ、つまらねぇ!)
何だ?このモヤモヤは?止む事の無い渇きに俺は1人舌打ちを溢す。
ーーーーーー
花子 side
「うっ…ぐっ…!」
(…なに?)
微かに聞こえる声。凄く苦しそうで目を覚ますと身体に巻き付く何かと温もり。
「はぁ…。」
「ドフラミンゴさん?」
何でここに?この人、あの綺麗なお姉様達と熱い夜をお過ごし中では?
「っ…ぇ…!」
私の胸に顔を埋めるドフラミンゴの顔は凄く辛そうで、いつもしているサングラスは外されており額からは汗が流れている。
「っちちうえ…ははうえ…ロシー…!」
縋る様にキツく私を抱き締めるドフラミンゴさんは何だか独りぼっちの子供の様で…。私はぎゅっと彼の顔を抱き締めた。
「大丈夫…大丈夫だよ。貴方は1人じゃないよ…。」
「っ!」
彼の過去に何があったかは知らない。私に彼の苦しみを理解なんて出来ないと思う。
(どうか…安らかな夢を…。)
頭を撫で子供にする様に優しく背中を叩くと、ドフラミンゴさんは穏やかな寝息を立て眠りに着いた。
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(朝か…。)
心地のよい微睡みにドフラミンゴは目を覚ました。ふと鼻を掠めるのは嗅ぎ慣れた甘い香り。
「すぅ~…。」
「フッ…アホ面。」
己を縛り付ける悪夢。だが不思議と穏やかな目覚めにドフラミンゴは眠っている花子を見つめる。
ー貴方は1人じゃないよ…。ー
「お前は…俺の側にいてくれるか?」
返ってくる事の無い問いに自嘲しドフラミンゴはその小さな身体をぎゅっと抱き締めた。